酔っ払い、啖呵を切る
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くれないと普通に暮らすこともできないんですよ・・・!」
俺が声を振り絞りながらそう主張すると、ホアンは反論することもなく、しきりに頷いていた。
するとホアンが口を開いた。
「なあ、お前さん・・・うちから立候補して見ないか?」
「はい?」
このおっさんはいきなり何を言ってるんだ?
「正直な話今回の同盟民主党との政策の擦り合わせには党内からの反発が強くてね。これも必要なことだからと押し切るつもりでいたんだが・・・エル・ファシルの現状とお前さんの話を聞いて考えを改めようと思う。」
「いやいやいやそんな重要なこと簡単に決めちゃダメでしょ!それに立候補なんて・・・ハイスクール中退の人間が立候補しちゃダメだろ。」
「同盟憲章にはあらゆる出自・学歴問わず被選挙権が認められている。」
「お金もないし・・・」
「党から助成金が出るし、私も出してやる。」
「法律も政策も詳しくないし・・・」
「そんなものは後から学べば良い。」
「・・・なんで俺なんだ?」
俺がそう聞くと彼は俺の目をしっかりと見据えながら、
「私も今でこそハイネセンのお偉方の一人だが若い頃はそれなりに苦労しててね。君の話を聞いてたら思い出したんだよ。何で政治家になろうと思ったかをね。それにうちには老人が多い。是非とも若い人材が欲しんだよ。グレゴリー・カーメネフ、私と一緒に同盟の未来を作ってほしい。頼む!」
そういうと彼は俺に向かって頭を下げた。
やめてくれ。俺はそんな立派な人間じゃない。今まで生きるのに必死で気づいたらこの地位にいただけなんだ。
俺が困惑していると彼は頭を上げ、俺の顔をじっと見つめてきた。
俺は彼の目を見た。何という目だろう。とても老人とは思えない力のある漢の目だ。それでいてどこか優しさを感じる。何というか・・・親父を思い出す・・・そうだな。やるだけの価値はあるか。
「分かりました。立候補の話、受けさせていただきます。」
そう言って俺は彼に頭を下げた。
「おおっ!ありがとう!これで君も私たちの同志だ!」
「よろしくお願いします。ですが私は無知な人間なのでこれからどうすればよいか見当もつきません。なのでこれからホアンさんを父と思い、ついて行きます!」
「へ・・・?父・・・?」
「はい!親父!これから世話になります!」
そういうと俺は親父の手を掴み思いっきり握手した。親父は困惑しているようだが、優しい目をしていた。
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