追憶 人間否定
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化す。
だが、動揺するラインハルト艦隊と違って、人形狂いの無人艦隊は空いた穴を平然と塞いで防戦を続けている。
「人が乗っていれば、そりゃ動揺するよな。
だから、全部人を乗せないという方向に、この国はついに行かなかったなぁ」
人形狂いはモニター向こうの命の消える灯りを眺めながら、淡々とつぶやく。
彼の趣味と生まれた国の国是が致命的に合わなかった。
つまり、それだけのこと。
「奴隷として君たちは人より優れている。
統治者としても君たちは人より優れている。
つまり、この国には人間なんていらないんだよ」
ただそれだけを証明したくて、彼はラインハルトの誘いを蹴って、貴族連合に身を投じた。
その顔には満足があった。
彼からすれば、己の生み出したものが完璧と言えるだろう主人公に対して深い一撃を食らわせた。
それはオリ主である彼にしてみればこれ以上無い満足であった。
「じゃあ、そろそろ行くか。
艦隊母艦の準備は?」
「すでに出港準備は整っております。
司令室から港までの通路も確保済みです」
艦隊母艦はコロニー船としても機能できる。
会戦が混乱と混沌に満ちている今だからこそ、安全に逃げ出せるだろう。
何処に逃げるのか?
まだ見ぬ新天地へ。
ハイネセンという先駆者にできた事だ。
彼にできない事は無いだろう。
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「お父様。
…………起きてください。
お父様!」
人形師は目を開けると、緑髪の副官が起こった顔をして時計を指差していた。
彼女の軍服は自由惑星同盟のものである。
「おはよう。
状況をおしえてくれないか?」
「ここは艦隊旗艦ジャガーノートのお父様の私室。
今日はイゼルローン要塞破壊作戦の開始日です。
小惑星にワープエンジンをとりつけて、イゼルローン回廊に向かわせる所です。
作業の進捗状況の報告が、ベルティーニ・コープ提督より届いていますがお読みになりますか?」
「ああ。
それと紅茶を頼む。
ミルクティーを」
「はい」
緑髪の副官が部屋から出ていった時、彼はぽつりと呟いた。
「夢か。
いや、こっちでもやっている事は変わらんか。
けど、一撃……」
そこで彼はモニターを見る。
彼が率いる艦隊は旧式艦を中心に定数一万二千隻を満たしているが、その八割以上がアンドとロイドとドロイドを乗せた無人艦という編成だった。
「……どんな悪名を受けようとも、あの完全無欠な英雄に一撃を食らわせたかったなぁ……」
イゼルローン要塞破壊
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