二十六匹目
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…?」
「気持ちの良さそうな声を出しおってからに…」
と、それを悔しそうに見ているのが一人。
「むぅ…お母様ばっかり狡いです」
「なんじゃシェルム? シラヌイの尻尾をさわりたいのかのぅ?」
無言で頷くシェルム。
「儂の背中に座るといい」
「宜しいのですか?」
「構わぬ、お主一人支えられぬような鍛え方はしておらんわ」
「では失礼して」
シェルムは玉藻の背中に座り、玉藻の尻尾の中から一つ小さな尻尾を探し出した。
シラヌイの尻尾だ。
「ああ…シラヌイの尻尾…もふもふしてて最高ですね……」
息子の尻尾をモフり、シェルムは気持ち良さそうにタレ目を細めた。
「あんまりやり過ぎるとブライが妬くぞ」
「その時はあの長耳を一晩中なぶるだけですよ」
「やめてやれ……」
「うきゅぅ…?」
そこでシラヌイは自分がモフられている事に気付いた。
「うふふ…シラヌイももうこんなに立派な尻尾を持つようになったんですね」
「我らの尾の大きさは力の証じゃ。シラヌイ程であればこの大きさは妥当じゃろう。
体とのバランスはちとわるいがのぅ」
シラヌイの尾は獣化した時には体より長く、通常でも身長の半分以上ある。
「ぅきゅー?」
シェルムがシラヌイの頭を撫でると、くしくしとシェルムの手に顔を擦り付ける。
「きゅぁぁ〜ん…?」
「うふふ…今日はシラヌイを抱き枕にして寝ましょう、そうしましょう」
「ああ…シラヌイの尻尾もシェルムのようにもふもふになったんだなぁ…」
ブライはシェルムと獣化したシラヌイを挟むようにしてベッドに入っていた。
「お母様は、自分の身長の半分も尾があれば一人前の尾獣と言っておりましたが、シラヌイはまだまだ子供ですね」
シェルムがシラヌイの顎の下を撫でると、気持ち良さそうに声をあげる。
「それは……そうだろうな…。俺とシェルムの子だ。魔力が規格外なのは当然だ」
「うふふ、なんせエイルヴァイオン皇太子と九尾の娘の子ですものね」
ソレを言うと、ブライ…本名ブーミ・ライトニング・マクリリン・エイルヴァイオンはそっぽを向いた。
「拗ねないでくださいよブーミ・ライトニング・マクリリン・エイルヴァイオン皇太子陛下殿?」
「うるさい」
「ふふ…そういう子供っぽい所、120年前に会った時から変わってませんね」
「Zzzzzz」
「狸寝入りが下手なのもね」
するとブライは手に魔力を集め、自分に魔法を投射した。
催眠魔法だ。
「あらあら…。さ、私達も寝ましょう? シラヌイ」
「うきゅ」
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