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Evil Revenger 復讐の女魔導士
兄妹
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何でここにいるんだ? と彼は問いかけてくる。
「会いたかったからに決まってるじゃない」
 もう放さない、ずっと一緒だよ、ネモ。
 だが、彼はやんわりと私の手を解くと、目線を合わせて語った。
 お前はまだここに来ちゃいけない。お前を連れて行くわけにはいかないんだ。
 優しい声でそう語りかける。
「どうして? なんでそんな酷いこと言うの? 私はあなた無しじゃ生きていけないよ」 泣きそうな私の頭を撫でて、彼は笑顔で言った。
 しっかりしろ、チェント。お前にはまだやることが残っているんだ、と。
 俺はお前に生き方を教えた。もう兄に頼らずとも生きていけるように。だから、頑張れ。お前なら……大丈夫だ!
 彼は私を抱きしめた。そして、後ろを振り向き歩き始めた。
「待って、ネモ!」
 私は彼の背を全力で追った。だが、ゆっくり歩いているだけのはずの彼の背に追いつけない。
 どんどん遠ざかっていく。まだ言いたいことが山ほどあるのに。
 やがて、その背は見えなくなっていく。
 ネモ──!!

 目が覚める。石の天井があった。
 首を動かすと、周囲にいた兵士達の酷く驚いた声が聞こえてきた。
 上半身を起こす。そこで自分が魔王城内の兵士の詰め所に寝かされていたということが分かった。
 私以外にも、何人もの兵士が床に敷かれた布の上に寝かされていた。
 誰が寝ていて、誰が死んでいるのかわからないような状態だった。
 私は……生きてるの?
 私は上半身の服を脱がされ、肌に何重もの包帯が巻き付けてあった。
 包帯の下に、確かにあの時兄に付けられた傷の感触がある。あれは夢などではなかった。
「どうやらお前も死に損なったようだな」
 その声に振り向くと、そこには包帯塗れになったガイアスがいた。
 私以上に満身創痍であちこちに血が滲み、左手には杖をついていたが、声はしっかりしていた。
 ガイアスから話を聞く。私を見つけて運び込んだ兵士の話によると、私の怪我はもういつ死んでもおかしくないような状況だったらしい。
 駄目で元々のつもりで、できる限りの手当てをして寝かせていた。それから数日経った今日、私は奇跡的に目を覚ましたのだった。
 はっきりしていることは、兄はあの後、止めを刺さなかったということだ。この傷で助かったのは偶然かもしれないが、兄は結局最後まで私を殺し切れなかったのだ。
「戦いは……どうなったの?」
 私が倒れたのは開戦直後、意識を失っている間、戦いの行方はどうなったのだろうか?
 ガイアスは、自嘲気味な笑みを浮かべながら答えた。
「魔王軍は……我々は負けた」
 その報告には現実感がなかった。まるで遥か遠くの国の知らせを聞いているかのように、その話に耳を傾けていた。
「俺も目を覚ましてから聞いたことだがな」
 ガイア
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