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Evil Revenger 復讐の女魔導士
兄妹
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 やがて私は、兄の攻撃が弾かれた隙をついて、体が密着するほどに接近してから剣を繰り出した。この距離からなら、こちらの刃は完全に死角となるはずである。
 この攻撃ならばっ!
 だがやはり、赤色の剣閃は空を斬ってしまった。体を一瞬で腰ほどの高さ低く屈めて、横斬りをかわす。兄の反応が、感覚がどうなっているのか、もう理解を越えていた。
 それでも、まだこれは予想の範囲内。さらに踏み込んで、ありったけの斬撃を浴びせかける。今までよりも遥かに近い間合いで繰り出される連撃に、兄の回避動作も大きくなる。やはり当たらない。掠りもしない。
 くそっ……なんで……!
 そして何故か反撃も来ないまま、兄は距離を離した。
 私の方は肩で息をしていた。
「……お前、死ぬ気か?」
 先程まで血走った眼で激昂していた兄は、冷静な声に戻っていた。まるで自分を見ているようだった。自暴自棄になって飛び出しても、戦いでいざ命の危険が迫ると冷静になってしまう今の私自身を。
「気付いてたの? 兄さん」
 今の異様に踏み込んだ斬撃は、わざと隙を作っていた。兄が反撃しやすいように。そして、そこに合わせて避けようのないカウンターを叩き込めるように。
 完全な相打ち狙い。私が狙ったそれを、兄は見抜いていたようだった。だから、反撃もなく仕切りなおした。
「怒ったフリをしても実は冷静なんだね。シルフィが死んだことも本当は、どうでもいいんじゃないの?」
 私の挑発に兄の表情が再び歪む。だが、今度はすぐに斬りつけては来なかった。
「あいつが死んだのは……俺のせいだ。俺が母さんとの約束を守れなかったから、あいつが死んだんだ。
 ……俺があいつを巻き込んだ」
 兄は最後には顔を伏せて、そんなことを言いだした。
 母との約束。スキルドが言っていたことだろう。母に私を守ると約束して、それを守れなかった。
「ふぅん。よくわかってるじゃない、兄さん。じゃ、責任を取って早く死んでくれない? 私に殺されてくれない?」
 言いながら、私は攻撃を打ち込んだ。全力を込めた一撃。本気で殺すつもりで振るう。
 だが、ガキン、と激しい音を立てて、私の赤い剣は兄の振るう剣に弾かれた。今回の戦いで初めて兄は、私の剣を自分の剣で受けたのだ。
 兄の方は踏み込むことなくその場で剣を振るっただけだが、そのただならぬ気迫を感じて私は後退した。
「……まだ俺は死ぬわけにはいかない! 俺の人生を滅茶苦茶にしたあいつを……魔王を殺すまでは!」
 言いながら兄は、ゆらり、と剣を構えなおした。
「俺は魔王を殺す。だから……だから邪魔をしないでくれ、母さん!!」
「!?」
 兄が一気に踏み込んできた。動揺する私に構わず、何度も剣を叩きつける。
 私は後退しながら必死に、赤い剣で、盾で、それらを受けた。
 母
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