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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第8話 訪れる変化
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 それは、謎の襲撃とその報告から2日後のことだった。

 エースとミストは、何故か朝一番で校長室に呼ばれていた。緊急性を要していそうなその呼び出しを断ることは立場上出来ないので、授業を休むことを担当教員に告げる時間もなく校長室に向かった2人。

 そこで告げられたのは、「今から依頼主のところへ出向く。何も言わずについてこい。授業に関しては何とかしてやる」という内容が丸っきり分からないものであった。

 ミストが反論しようとするも急ぎだから後で話す、とりあえずついてこい、ということで、全く内容を引き出すことが出来ないままで2人は馬車に乗るしかなかった。何も知らないままというのは腑に落ちないところではあったが、色々と援助してもらっている身なので拒否という形での抗議はもちろんのこと、最初からその場の流れに乗る以外の選択肢が選べるはずもなかった。


 そうした秘密だらけの行動の末にたどり着いたのは、今2人の目の前にある一戸建ての家。無論、この場所がどういうところでここに来たことが何を意味するのかなど、何も知らない2人には分かるはずもない。

「校長、そろそろ教えてもらえませんかね……」

「まぁそう急ぐな。急いては事を仕損じる、というだろう」

「ですが、何も分からなければこちらも不安になります。節度というものを考えてください」

 ここまで来て何も話さないパードレに、ミストは言葉には怒りを、顔には呆れを込めてそう言っていた。顔に示しただけで言葉を用いなかったエースも、全く同じ気持ちである。

「ならば、もう少しだけ待ってくれ。後で必ず話す」

「必ず、ですよ」

 念を押すような強い口調でミストの言葉が飛んだが、それで展開が早くなるわけではないのはエースに含め百も承知。とりあえず、パードレの言う『もう少し』の分だけは待つことにした。

 そのパードレは目の前の家の玄関の扉の前に立つと、扉を数回軽く叩いた後、低く凄みのある声を響かせた。

「サウゼル魔導士育成学校校長、パードレ・ファルシュだ。開けてもらえないだろうか」

 やや小さいかと思われたその声は中まで届くには十分な声量だったようで、白塗りの玄関扉の奥から1人の男性が現れた。本人かどうかを確認せずに開かれたところを見ると、目の前の男性はすでにパードレと面識があるようだ。

「おお……学校長様。ようこそおいでくださいました」

 白塗りの扉を最大まで開いた後、丁寧な礼をした目の前の男性。物腰柔らかな印象を受けるその姿をエースとミストが見ていると、相手も自分たちの姿に気づいたようだった。

「……失礼かもしれませんが、そちらの方々はどなたでしょうか?」

「俺の義理の息子のエース・フォンバレンとミスト・スプラヴィーンだ。実力と性格は保
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