第五章
第46話 戦いの始まり +登場人物紹介
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。兄ちゃんはオレのときも同じようなこと聞いて反省してたよね」
「あー、そうだったな。なんか俺、無神経なんで、あまり考えないまま聞いてしまうんだよなあ」
「え? カイルくんも僕と同じなんですか?」
「うん。オレ孤児院出身だから親はいないよ。誰かもわからない。オレたち似た者同士だね」
うつ伏せの俺には、カイルの表情はわからない。だが二人の声のトーンやタケルの表情を見る分には、両者ともいつもとそんなに変わらないようにも感じる。
「そういえば、クロさんって両親はいるんです? もし聞いてもよければ……」
今度はタケルのほうから聞いてきた。
「クロの両親、か」
クロを呼ぶと、こちらの枕元近くに来た。そしてお座りの姿勢になる。
喋ってもよいかと聞いたら「構わない」と答えた。大丈夫のようだ。
「実は、クロはまだ仔犬の頃に、両親と別れているんだ」
「そうだったんですか。じゃあ三人とも同じ境遇ということになりますね」
「あ。兄ちゃんだって親はこの時代にいないよね? そうなるとここにいる四人全員が同じなんじゃないの?」
「なるほど……リクさんも……」
「ああ、そう言われれば。確かに俺もこの時代にはいないな。まあでも、俺の場合は、元の時代に戻れば会えることになるわけだから、お前らよりは条件がよいけどな」
あくまでも戻れれば、ではあるが。
――親、か。
今頃、何をしているのだろうか。
もう八か月くらい経つことになるので、さすがに俺のことは死んだと思っているに違いない。
それを覆せるかどうかは、このあと神との約束を履行できるかどうかにかかっている。
「あ、そうだ。クロさんが仔犬の頃に両親と別れたということは、クロさんが強いのって、リクさんが戦い方を教えたからなんですか?」
「ん? 俺はクロには何も教えてないぞ」
俺の家族はクロに対し、かなりしっかりと躾をしていたと思う。
家には犬の躾に関する本があった。俺は世話にほとんど参加していなかったので読んだことはなかったが、俺以外の家族は全員それを読んで躾をしていた。おかげで、クロの行儀は非常によい。
ただその本にも、さすがに「戦闘のさせ方」などという項目はなかっただろう。
気になったので、本人に聞いてみることにした。
「クロ。お前は戦いかたを誰かに教わったのか?」
「私は誰にも教わっていないが」
「訓練したわけでもない?」
「していない」
「ホントか? 勉強しているのに『おれ全然勉強してないよー』とか言って満点を取る嫌なヤツじゃないよな?」
「……どういう意味だ」
「いや何でもないですごめんなさい」
「クロさんはなんて?」
「誰にも教わってないってさ」
「そうなんですか。教わっていないのに戦えると
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