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緑の楽園
第五章
第46話 戦いの始まり +登場人物紹介
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腕だったという金髪少年は、どんな修行をしていたのだろう。

「うーん。オレのときはもう少し厳しい感じだったかも? 四歳くらいから町長に教えてもらっていたから、最初は少し楽だったけどね。慣れたらすぐ厳しくなった」

 カイルは俺の期待を裏切る答えを返すと、「タケルさんはどうだったの?」と振った。

「そうですね。僕の場合も、もう少しきつめに教えてもらっていた気はします」

 多数決の結果、二対一で、さっきの俺の訓練はまだまだヌルかったということに決定した。
 俺の根性がなかっただけの話だったようだ。

「タケルは何歳くらいから訓練を?」
「僕も四歳か五歳くらいですかね? 生まれる前から戦闘員として育てるって決まっていたらしいですよ」
「凄いな。両親はどう思っていたんだろ?」
「どうでしょう? 親が誰なのかわからないんですよね」

 ――え?
 足に感じていたカイルの手も、一瞬だけ止まった。

「あのお……もしかして。聞いたらまずい話だった?」
「いえいえ。地下都市ではそれが普通です」
「そ、そうなのか。なんだかすごい話だな」
「そうですかね? 人口が一定になるように、出産は当局が管理しているんですが、生まれた子供はすぐに専用の施設に移されるんですよ。
 だから育ての親……というよりも担当者ですね、そのような人はいますけど、本当の親が誰かは僕も知りません」

 サラッと言ってはいるが、俺にしてみれば驚きの事実である。あまりにも衝撃的すぎた。

「もしや、親も、どの子が自分の子か知らなかったり……とか?」
「そうですね。顔が似ていれば、だいたいわかることもあるのかもしれませんが。同時に育てられた子供が何人もいますし、ある程度育つまで施設外の人とは会いませんので、顔が似ていない場合は特定できないと思います」

 ……。
 そんなことがあってよいのだろうか。
 育成まで当局がコントロールするということになると、親子の縁などない方がよいという結論になったということなのか。

 地下都市の性格から、人口の増減を管理する必要があるということは、理解できなくもないが……。
 親子の縁が無い世界。自分には想像もつかない。
 俺の時代で、家に政府の人が来て、「あなたの子供を頂きます。戦闘員として育てますのでよろしく」なんて言おうものなら、その場で蹴り飛ばされると思う。

 タケルの淡々とした口ぶりからは、親子の縁はないことが当然だと思っている感じだ。
 しかしながら、はたしてそう簡単に割り切れるものなのだろうか?
 やはり余計なことを聞いてしまったのではないか?

「やっぱり聞くべきじゃなかったな。ごめん。忘れてくれ」
「いえ、本当にこちらでは普通のことなので、気にしてませんって」

「へへ
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