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緑の楽園
第五章
第46話 戦いの始まり +登場人物紹介
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「っ!」

 つばぜり合いから吹き飛ばされ、無様にすっ転んだ。
 受け身は取れていると思うが、衝撃で一瞬呼吸が止まる。

「ふむ。まだ少し時間はあるな。もう一度だけやってみよう」
「あ、あの、ちょっとキツい……かも……です……」

 町長の剣術指導は少し厳しめだとカイルから聞いていたが、とても「少し」どころではなかった。想像を絶した。
 疲労と酸欠で死にそうだ。

 起き上がるときに見えたが、子供たちが入り口近くに座り込み、ニヤニヤしている。
 タケルは立ったまま、何ともいえない微妙な表情で見学。
 そしてなぜか神も立ったまま見ているのだが、その顔は無表情だ。
 クロは……ペタンと体を休め、目だけこちらに向けている。

「ははは。言わなくても見ればわかるよ。けれども、この後わたしは子供たちを連れて帰らないといけないからね。少しでも君に伝えたい。苦しいところ申し訳ないが、すぐやろう」
「は、はい」



 ***



「し、死ぬ……」

 猛烈なしごきの後、フラフラのまま水浴びをし、子供たち全員と抱擁し、町長と子供たちの馬車を姿が消えるまで見送り、部屋に戻ってきた。
 もちろん、そのままベッドに直行である。うつ伏せで倒れ込んだ。

「大丈夫? 兄ちゃん」
「あんまり大丈夫じゃない……」
「ありゃりゃ」

 また、頼んでいないのにカイルのマッサージタイムとなる。
 ツボを押す指圧ではなく、筋肉をさすったり圧迫したり動かしたりするスポーツマッサージだ。
 彼はもともと指圧のような手技しか使っていなかったが、俺が部活で覚えたスポーツマッサージを前に披露したところ、気に入ったらしい。教えてくれとせがまれた。
 特に断る話ではないので教えたが、彼はあっという間に覚えてしまい、すっかり上手になっている。

「でも、なんで急に町長が教えてくれることになったんだろ」
「あー、町長さんが、兄ちゃんの腕がどれくらい上がっているのかチェックしたいって言い出してさ」
「そうだったのか」
「うん。オレだと兄ちゃんに厳しく訓練できてないんじゃないかって、心配してたんだよね」
「お前、俺のこと大好きだもんな」
「うん。そうなんだよね。どうしても手加減しちゃう」

「……いや、今のは冗談で言ったんだが」
「別に冗談じゃなくていいよ?」
「キモっ」

 ベッドのそばの椅子に座っているタケルが、「二人は仲いいですよね」と言って微笑んでいる。
 まだ硬い笑いだが、それもそのうち解れていくだろう。

「そういやさ、カイル。お前はずっと町長に剣術を教わってたんだろ? そのときもあれくらい激しかったのか?」

 高校の部活でさえも、あんなに激しい練習をしたことはなかった。
 十三歳で町一番の
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