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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
64話:狭まる網
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おらぬ。ここはリヒテンラーデ候に期待したいところだが......。


宇宙歴786年 帝国歴477年 1月下旬
首都星オーディン 国務省 尚書執務室
クラウス・フォン・リヒテンラーデ

「リヒテンラーデ候、国務尚書になられて一年もたたぬうちに、このような事となり申し訳ございませぬ。財務次官として面目次第もございませぬ.....」

儂が内務尚書だったおりから行政官として優秀なこともあり、何かと目をかけてきたゲルラッハ子爵が汗を拭いながら頭を下げている。もともと財務尚書の後任にしたカストロプ公爵のお目付け役として財務次官に抜擢したが、自分より立場が上の者を抑える適性は無かったようじゃ。
だが当初はカストロプ公爵を内務尚書にという話もあった。それを思えば、まだ財務尚書にしておいて正解と言った所か。内務省で汚職など公然とされれば、警察機構と社会秩序維持局でも汚職が公然とまかり通る事態になったじゃろう。そう言う意味では怪我の功名か?だが、そんな事では前向きになれぬほど、政府と宮中は混乱しておる。

事の始まりは、ベーネミュンデ候爵夫人が懐妊した御子が死産した5年前まで遡る。宮中に生きる者ならみな真犯人は誰か?理解していたはずじゃが、まさか皇太子殿下を皇族弑逆の罪で裁くわけにもいかぬ。公然の秘密のまま、なあなあで事が治まるかに思えたが、いけにえのように、関係した医師や看護婦、メイドたちが極刑に処せられた。
そこで終わったと判断した事には、今でも悔いが残る。あの時に、再発防止の為に厳罰を政府からも主張していれば、まだ事前に情報を流してもらえただろう。軍部とブラウンシュヴァイク公爵家・リッテンハイム侯爵家は事前に情報を共有していた可能性が高い。本来なら政府が行うべき『帝国としての公式見解』の発表を彼らが担当した事でも明らかだろう......。

「済んだことは仕方がない。そもそも儂も内務、宮内、財務の各尚書を勤めたのじゃ。古巣に後ろから撃たれた思いだが、儂も組織に蔓延る麻薬汚染も、地球教とやらの企みも見過ごしてしまった。今更ながら皇族弑逆が発生した際に、政府としても厳罰を願い出るべきであった。あそこで甘い対応をしたことで、軍部は宮中の不始末に政府が甘い対応をし、両家にぬれぎぬが着せられるのを黙認したと判断したのじゃろう。ならぬれぎぬを晴らそうと必死な両家の方が、まだ役に立つと判断した......。といった所じゃろうな。実際この体たらくじゃ」

「確かに政府にも失点はございましたが、せめて陛下のご温情という名目で健康診断を行う前に情報が頂ければ、ここまでの混乱はございませんでした。それ位の配慮は期待しても良いのではとも存じますが......」

「事前通告がなかったからこその成果であろう?実際事前に聞けば、誰にもそれを話さぬという訳に
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