第十五話 中を見るとその四
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「とてもな」
「ううむ、しかしまことにです」
「あ奴の淹れた茶はよかったか」
「まことに」
美味かったとだ、羽柴は金森にも話した。
「ですから言いまする」
「羽柴殿は嘘を言われぬにしても」
明智は袖の中で腕を組みつつ述べた。
「到底」
「松永殿の茶や飯は」
「それがしも口には出来ませぬ」
明智にしてもだった。
「恐ろしく。そしてそれがしも」
「あの御仁が何かしようとすれば」
「その時は背からでも」
「斬られますか」
「撃つこともです」
それもというのだ。
「します」
「そうなのですか」
「それがしもあの御仁はとても信じられぬので」
「あ奴が何かすればわしが槍で突き殺してくれる」
森は自分こそがと名乗りを挙げた。
「だから安心せよ」
「まあそうじゃな」
「お主もおるしな」
「それならば安心出来るか」
稲葉、安藤、氏家の三人も述べた。
「あ奴は信じられぬが」
「わし等にしてもな」
「それでも猿も言っておるし」
「しかも備えもある」
「鬼があ奴の後ろにおる」
「ならば安心じゃな」
「しかし猿が言うからには安心か」
丹羽は羽柴の言葉に嘘はないことから述べた、こうした時に彼は嘘を言わないことはよく知られているからだ。
「少なくとも本願寺や諸大名を降すまでは」
「その時までに降せれば天下は落ち着く」
佐久間はそれ故にと言い切った。
「あ奴が謀反を起こしても何でもないわ」
「諸大名を降せば少なくとも九州と奥羽以外は全て当家のものとなっておるな」
こう見たのは前野だった。
「さすればあ奴が大和で何かしても知れておる」
「うむ、その時は簡単に滅ぼす」
中川もこう考えていた。
「造作もないことじゃ」
「まあそこはです」
羽柴はまだ言うのだった。
「それがしのお言葉を信じて下されば」
「そうじゃな、しかしあ奴が何かすればな」
平手は羽柴に険しい目で告げた。
「お主に働いてもらうぞ」
「承知しております」
微笑んで応えた羽柴だった、そうしてだった。
織田家の重臣達は織田家のこれからのことだけでなく松永のことも考えていた、そしてそれは彼等だけでなく。
慶次は都で可児と共に遊郭で遊び飲んでいた、そこで可児は飲みつつ慶次にこんなことを言った。
「また戦になるのう」
「近いうちにな」
「戦になればまた暴れる」
可児はこのことは笑って話した。
「思う存分な。しかしな」
「しかし。どうしたのじゃ」
「松永めじゃ」
可児はその目を鋭くさせて言った。
「あ奴じゃが」
「ああ。何かすると」
「今度の戦は織田家にとってこれ以上にないまでに大きな戦になるぞ」
「本願寺と諸大名じゃな」
「武田、上杉、毛利、北条じゃ」
この家々だと
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