表彰式
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さが残る様子は清々しくも見える。
ベレー帽を外して、机に置くと、アレスはおかれていた紅茶を飲む。
遅れること五分。
ローレンス少尉に案内されて、ヤン中佐が到着した。
慣れているのかいないのか、どこか居心地悪そうな雰囲気。
アレスが紅茶を進めると、辞退をした。
「すぐに会場に連れていかれるからね。あまり飲み過ぎると途中でトイレに行きたくなって、大変だよ」
そんなありがたい忠告であるが、既に二杯飲んだアレスにとっては、死刑宣告のようなものだ。途中退席はと言いかけて、そんなものがあり得るわけがないなと思った。
すぐに広報課の中佐が現れて、式典の説明が行われた。
統合作戦本部長ジェフ・コートニー元帥から賞状を受け取り、その後は国防委員から祝辞を受ける。式典が終わったら、祝賀会だ。
名誉なことだと、中佐は三回言った。
面倒なことの間違いじゃないかなと、隣でこちらに聞かせるように呟くヤンの言葉に、アレスは笑いをこらえるのに苦労をした。
長い説明を終えて、式典会場へと案内される。
多くの幹部が並ぶ中で、予定されていた椅子に座る。
「ここからが長いんだ」
椅子に座った後で、こっそりと教えてくれた。
その通りに、長かった。
統合作戦本部次長、宇宙艦隊司令長官。
それぞれの大幹部が入室するたびに、報道陣のカメラからフラッシュがたかれる。
写真撮影に十分な時間が確保されているため、一人一人の時間が長い。
なるほどと、アレスは苦い顔をする。
これであるならば、一時間ほど遅れてきたとしても十分間に合っただろうなと。
そこからさらに時間をかけて、ジェフ・コートニー元帥が入場した。
全員が立って、拍手をする。
主役という呼び名はなんだろうと、おそらくはヤンもエルファシルの際に思ったはずだ。
だが、それで終わりではない。
そこから数分の長い待ち時間があり――国防委員であるヨブ・トリューニヒト議員が姿を現したのだった。
+ + +
報道陣のフラッシュを受けて、主賓席に座る姿は相変わらず俳優の様に見える。
悪く言えば、作った表情が透けて見えるというところであるが。
横目を見れば、ヤン・ウェンリーはつまらなそうに前を見ていた。
それはトリューニヒトがというよりも、式典自体がつまらないと見ているようだ。
好かないと感じてはいても、まだ彼が国防委員のこの時期では嫌悪をという感情までには向いていないようだと、アレスは思った。
式典では、先ほど中佐が説明したように動いていく。
壇上に、統合作戦本部長が挨拶に立った。
ジェフ・コートニー元帥。
前世では記憶にはなく、特段の主要な人物でもなかった。
実際に、本来であれば彼が
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