63話:それぞれの対応
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.。黙って指示に従いましたが、本当に大丈夫なのですか?」
妻が不安げに尋ねてくるが、ここまでくれば一安心といった所だろう。帝国軍のフェザーン進駐の前夜にRC社所有の屋敷に招待されたことにして妻を同席させて、そのまま保護下に入った。屋敷からは出ることなく、地球教関係者の拘束のアドバイザー的な立ち位置を果たした。
それが一段落したのを受けて、スパイ映画ではないが大き目のトランクの中に潜み、リューデリッツ伯爵家の御用船に乗り込んで半月、リューデリッツ伯爵家の本邸が置かれている惑星ギャラホルンではなく別邸のあるスルーズヘイムに匿われた。フェザーンで拘禁された容疑者の取り調べは、同じ星系にあるガルミッシュ要塞で行われるので、今後はそちらのアドバイザー的な立場になるはずだ。
「うむ。ここまで来れば安心だ。お前には心配をかけたが必要なことだったのだ。もうしばらく辛抱してほしい」
「貴方が安全なら、それで良いのです。フェザーンでの生活は都会的と言えば聞こえが良いですが、変にあくせくしておりました。ここはのどかですし、久しぶりに私の料理でもお食べになってください」
そう言うと、妻は厨房を確認してくると告げて、リビングを後にした。改めてソファーに深く腰掛け、用意されたお茶を飲む。掃除が行き届いた別邸に、帝国でも最高級のソファー。良質な茶葉......。私の共犯者が最大限配慮してくれているのを感じる。
この件が落ち着いたら、何をして生きていくかも考えなければならない。ずっと自治領主になる事を目指してきたが、さすがに戻ることは出来ないだろう。どうせならRC社で面倒を見てもらうのも良いかもしれない。紅茶の香りを楽しみながら、私は久しぶりに安らぎを感じていた。
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