暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
63話:それぞれの対応
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
てもらう事を考えるだろうね」

なにやら敗訴の判決を聞いているような気分だ。場が静まり返って、ヤンは今更、雰囲気が悪くなったことに気づいたらしい。

「今夜の夕食を食べる前に、明日の朝食の心配をしても仕方がない。まずは自分たちがやれることをやるしかないさ」

頭を掻きながら場の雰囲気を変えようと気の利いた事を言ったつもりのようだが、残念ながらその試みは失敗したようだ。だが、それが妙におかしく、ヤン以外の3人で、顔を見合わせて思わず笑ってしまった。


宇宙歴785年 帝国歴476年 8月下旬
首都星ハイネセン レベロ代議員事務所
ジョアン・レベロ

「我らが帝国は以上の調査の結果から、先年の恐れ多くも皇族暗殺に関して、地球教団が組織的に関与した事。その為の資金援助を含めた買収工作を、一部のフェザーン商人と、自治政府内部の職員が実行した事に確信を得ている。フェザーン自治領主であったワレンコフ氏は我らが帝国の参考人招致に快く応じてくれた。統治機構については、自治領主代行には補佐官の一人であったルビンスキー氏を充てた。治安の回復が確認され次第、帝国軍はフェザーン自治領からの撤兵を開始するであろう」

この数日間、何度も流れた帝国側の公式見解を述べるブラウンシュヴァイク公爵とリッテンハイム侯爵のVTRが流れている。帝国のフェザーンへの進駐は、政府にとっても、軍部にとっても寝耳に水の事態だった。戦力化を終えた宇宙艦隊はイゼルローン方面で帝国軍と会敵中。残存戦力と地方星系のパトロール艦隊を糾合して、フェザーン方面へ派兵する案も出たが、そもそも補給線も無ければ、予算もなかった。『対応策を検討する』という名目で、各部署で会議は開かれているが、それらはパフォーマンスに過ぎない。同盟に出来ることは無かった。

「悪逆なる帝国の主張がそもそも信じるに値するのか?また撤兵に関してもどこまで約束が果たされるのが疑問が残ります。同盟政府には速やかに軍事オプションを含んだ対応策の実施を期待します。では、次のニュースです」

主戦派の立場を取る女性アナウンサーが、私見を混ぜながらニュースを締めくくった。たしかウインザーとか言ったか?政界入りも取りざたされているが、これが代議員候補とは頭が痛い。マスメディアは好きなことを言うだけだが、政府には予算という制約がある。当選すればさぞかし現実味のある素晴らしい提案をしてくれることだろう。思わずため息が出た。

「レベロ、またため息が漏れているよ。こういう時こそ政治家は明るい顔を嘘でもしなければ市民が不安になるだろう。まあ、君は大抵しかめっ面だからあまり関係ないかもしれないが......」

「ホアン、茶化すのはやめてくれ。帝国からの資料が事実なら同盟は帝国憎しに引きずられて誤った判断をしようとしている。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ