63話:それぞれの対応
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知っているが、学食の紅茶では香りもへったくれも無いだろうに......。
私たちがゆっくりとランチを取り始めると、モニターの一角から駆け寄る人物がいた。ヤンが当直だった際に門限破りを見逃してして以来、何かと恩に着て一緒にいる事が増えたアッテンボロー候補生だ。
「先輩方も、ジェシカ嬢も大物ですね。大変ですよ!帝国軍がフェザーンに進駐したようです。詳細は不明ですが、大手のネットワークニュースはこの話題を繰り返し報道していますよ!」
「帝国がフェザーンに進駐かあ。どうやら6月からの大規模な攻勢は、同盟軍の目を最前線に向けさせる事にあったようだね......」
ヤンは、特段驚くでもなく、ランチを取っていた。さすがに私も驚きを隠せない。アッテンボロー候補生はあきれた様子で首を横に振っている。
「フェザーンの非武装中立は人類の起源から定められたルールと言う訳ではないからね。フェザーン自治領が設立されて100年と少し、帝国との戦争が始まってもう少しで150年。非武装中立にしておいた方が便利だからそうだっただけで、そうでなくなれば当然、帝国がフェザーンに進駐することも、逆に同盟がフェザーンに進駐することも十分にあり得るさ」
「ヤン教授の歴史講義はその辺にして、実際、同盟軍が打てる手は何があるかな?戦力化した宇宙艦隊はイゼルローン方面に出払っている。戦力化中の艦隊を今から派遣したとして、直ぐに派兵を決めても40日はかかる事になるが......」
私が話題を変えると、アッテンボロー候補生が思い出したように意見を述べる。
「先輩、そもそもフェザーン方面に補給線なんて存在するんですか?ランテマリオ星域から先は、星間パトロール位しか行き来していなかったはずですし、民間用の補給港があるくらいですよ?あとは不良債権化して廃棄された資源採掘施設があるくらいです。フェザーン方面に派兵なんて実行できるんですか?」
「無理だろうね......。イゼルローン方面への補給線ですら満足に構築できていない。本来ならエル・ファシル辺りに3個艦隊クラスの駐留基地でも作れれば、かなり状況は良くなるが、まずは宇宙艦隊の戦力化を優先する判断をしている。それに今年度はすでに6個艦隊を動員した事で、予算に余裕もないだろう。フェザーンから救援要請でも受けて、実費は払ってもらえるとかならまだ可能性はあるが......」
そこでヤンは一旦言葉を区切り、紅茶を口に含む。横目で見るとアッテンボロー候補生もジェシカも先を急かすような視線を送るが、どうやら効果は無いようだ。
「名目上とは言え、フェザーン自治領は自治権を帝国から与えられている存在だ。進駐前ならともかく、既に進駐が行われた以上、同盟に帝国軍の排除を頼む判断をするより、目的の達成に協力して一日も早く撤兵し
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