第四章
第45話 松代大本営
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弾薬も無い。その状況で、軍部は民間人に竹槍を持たせ、戦わせようとしている』とな」
完全武装で浜に上陸した米軍を、竹槍を持った普段着の民間人が迎え撃つ――そんな絵を想像してしまった。いくらなんでも無茶だ。
だが――。
「あれ? でも結局、本土決戦っておこなわれていませんよね?」
「そうだな……おこなわれていない。その地下要塞も、結局使われることはなかった。あの時、本土決戦になっていたら、一千万人程度の人間が死んだだろう。それは回避したのだ」
考えただけでも怖い。
もしそんなものがおこなわれていたら、俺も生まれていなかったかもしれない。
「それって……。あなたが、召喚した人間を使ってやめさせたんですか?」
「そのようなことはしていない。お前には理解しづらいことかもしれないが、戦争というものは人間の文明が発展するうえで必ず発生する。わたしはそれに対して善悪の意味を付加する立場ではない。
その時に人間とやりとりをしていたのは、歴史書を入手するためと、当時の地上の状況を報告してもらうためだ。特に他の意味があったわけではない」
「じゃあ、回避したのは原子爆弾が落ちて計画を諦めたからですか」
「それが理由の一つではあるのだろうな。だが、その原子爆弾で二十一万人以上の人間が死んだとされる。一千万人規模の被害は回避できたのかもしれないが、二十一万人の被害は回避できなかった。お前にとっては残念なことかもしれないが、当時の人類のレベルではそれが限界だったということだ」
「……」
俺がいた平成の時代であれば、どちらも回避できたかもしれない。
落とされる方もそうなる前に何とかしようと思うはずだし、落とす側も人道的な配慮をして、簡単にそのようなことはしないはず。
そう考えると、やはり人間も少しは進歩しているのかな、と思うが……。
ただ、俺の時代でも、一度落ちてしまえばその後どうなるかはかなり怪しい。
核保有国の数が多くなってしまっているので、収まらずに連鎖してしまう可能性が濃厚と思う。
ヤハラや神の話では、俺の時代の後に戦争で文明が崩壊したということなので、結局は完全に戦争を回避するステージには上がれなかったとみるべきだろう。
「タケルよ。お前の話では、『組織』とやらは住民の誰もが洗脳教育を受けているということだったな?」
「はい。そう聞いています」
「ならば、彼らは最後の一兵まで戦おうと抵抗してくる可能性がある。
……かつての地下要塞は、千年の時を経て、その『生まれた役割』を果たすことになるのかもしれない」
なるほど。
打ち合わせ中、神はそんなことを考えていたわけか。
意外と人間臭いところもあるんだな、と思った。
ただ……かつての地下要塞の『生まれた役割
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