第四章
第45話 松代大本営
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中、考え込むような素振りを見せたり、思い出に浸るような遠い目をしていたりと、いつもと何か様子が違っていた。
これは何かありそうだ。
どうせ神は暇だろうし、聞いてみよう。
「地下都市の件ですか? 何か思い出でも?」
「まあ、そうだな」
「よければ、聞かせてください」
「ずいぶん突っ込んでくるのだな」
「人間に興味がないはずの神さまが、珍しく無関心ではないようですので」
少し、神が苦笑いを浮かべたように見えた。
「確かに、人間そのものには大して興味はない。だが、人間の紡ぐ歴史については、興味がないと言った覚えはない。仕事柄ということもあるが、百年に一度は必ずその詳細を確認するようにしている」
百年に一度というのは一瞬ネタなのかと思った。しかしどうも素で言っているような感じだ。人間の寿命のスケールで考えてはいけないということか。
永いスパンでの活動で培われた、独特な感覚。そういうことなのだろう。
神は、タケルのほうに視線を移した。
「地下都市マツシロは、すでに存在していた巨大な坑道を、さらに拡張するかたちで造られた――そういう話だったな? タケルよ」
「はい、そう聞いています」
タケルはしっかりとした口調で答えた。
きちんと教わっているようである。
神はふたたび俺のほうを向く。
「その名前、場所から、間違いはないだろう。わたしはその元となった坑道を知っている」
「そうなんですか?」
「そうだ。あれはかつて、その役割を果たせなかった地下要塞……。今、そこに『組織』とやらが籠もり、役割を果たす可能性が出てきたわけだ……」
話が見えない。
その元となった坑道について聞くしかなさそうだ。
「あの、ちょっとよくわからないので、その元になったという坑道について教えて頂けますと」
「……お前は『松代大本営跡』を聞いたことはないのか?」
マツシロダイホンエイアト?
何だそれは。
「すみません、まったく聞いたことがないので教えてください」
神は少しの間固まったが、一つ小さくうなずいた。
「そうだな、お前は知っておくべきかもしれない。説明しよう。タケルよ……お前もあまり細かいところまでは知らないだろうから、聞くがよい」
「はい。ありがとうございます」
このタケルという少年は、根が素直な性格なのだろう。
さすがにまだ表情は硬いことが多いわけだが、ありがたいと思えばきちんと礼を言い、爽やかさすら感じる。
ヤハラもこんな部下がいてやりやすかっただろうな……と、あの世にいる彼にとっては非常に大きなお世話であろうことを考えてしまった。
神の説明が始まった。
松代大本営。
それは太平洋戦争末期に、極秘で松代に作られ
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