第二章
[8]前話
「それじゃあな」
「ああ、ちょっとそこのエルフの娘と話をしてくれ」
「そうさせてもらうな、だが無理だぞ」
またこう言うドワーフだった。
「ドワーフとエルフの相性の悪さは本物だ」
「それでもだよ」
ニアのたっての願いだからだとだ、バードはドワーフに言ってだった。
自分が間に立つ形でニアとドワーフを会わせ話をさせた、すると最初は頑なな様子だったドワーフがニアの細かいところまで気遣いをして親切で謙虚、しかも温かい人柄が常に出ている言葉と気配りを受けて。
一時間もすると完全に打ち解けた、それで彼はバードに満面の笑顔でこう言った。
「こんないい娘さんはだよ」
「いないかい」
「ドワーフでも人間でもな。まさかエルフにな」
「こんないい娘がいるなんて思わなくてか」
「わしは驚いたよ、この娘となら」
まさにと言うのだった。
「これからもな」
「仲良く出来るかい」
「ああ、絶対にな」
こう言うのだった、この状況にバードも驚きニアの心がどういったものかを知っていても彼女に驚きを隠せずに言った。
「凄いな、君みたいな心の持ち主だったらな」
「それならですか」
「それこそ誰でもだよ」
まさにというのだ。
「君を好きになって仲良くなれる」
「そうなれますか」
「なれない筈がない」
バードの言葉は太鼓判を押したものだった。
「君ならな」
「そうですか」
「そして僕もわかった、エルフとドワーフの相性は」
悪いと言われているそれはというと。
「人による、君の様な人なら」
「ドワーフの人達ともですね」
「仲良くなれる、ではこれからは僕達三人は友達として」
バードは既にニアと友達でドワーフとも友達だ、そしてニアとドワーフも友達になったからだというのだ。
「これからもな」
「仲良くですね」
「やっていこう」
「では今から森の果物を出します」
「僕はパンを出そう」
「わしは酒だ」
バードもドワーフもそれぞれ出した。
「ではな」
「これから三人で友達になった祝いにな」
「三人で飲んで食べて楽しみましょう」
ニアがにこりと笑ってそうしてだった、音頭を取ってそのうえでだった。
乾杯をして仲良く飲んで食べた、ニアの心と誰とでも仲良くなれる力はエルフとドワーフの種族の垣根すら軽々と越えるものだった。
相手がドワーフでも 完
2018・10・17
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