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レーヴァティン
第七十五話 霧の都その六
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「あの魔術師はである」
「一人でか」
「勝ち続けているのである」
「この闘技場でかよ」
「人もモンスターも」
「どんな相手でもか」
「倒していっているである」
 こう久志に話すのだった。
「魔術師でありながら」
「普通魔術師っていうとな」
 久志はその男に常識から話した。
「冒険の中でのバトルでも戦場でもな」
「後方からであるが」
「術で援護するものだろ」
「そうである、しかしである」
「あの魔術師はかよ」
「たった一人で、ある」
「どんな奴も倒していってるんだな」
「この闘技場である」
 そうしてきているというのだ。
「恐ろしいことにである」
「どういった戦い方をすれば出来るのかな」
「興味はあるであるな」
「ああ」
 その通りだとだ、久志は男に答えた。
「一体な」
「見るである」
 男は久志に真顔で答えた。
「これからその闘いぶりを」
「どう闘うか、か」
「見れば驚くである」
 男の顔は真顔のままだった。
「魔術師でありながらどうして巨獣を倒すのか」
「それ見せてもらうな」
「とくと見よである」
 こう言ってだ、男はその戦ぶりを見た。そしてだった。
 魔術師とベヒーモスの闘いがはじまった、巨獣は凄まじい唸り声をあげてそのうえで魔術師に突進した、しかし。
 魔術師は素早い動きで宙に舞い上がった、久志はそれを見てすぐに言った。
「浮遊の術か」
「はい、あの術ですね」
 順一はその術を見て言った。
「まさに」
「それを格闘に使うか」
「中々考えていますね」
「そうですね、しかし」
「ああ、それでもか」
「これで終わりではないですね」
「これからだな」
 久志は確信を以て言った。
「ベヒーモスはあれだけで相手には出来ないからな」
「はい、熟練の重装備の戦士でもです」
「一対一じゃまず負ける様な相手だ」
 その強さ故にだ、この島でかなり強大なモンスターなのだ。
「浮遊の術だけで倒せないからな」
「絶対に」
「だからな」
「これからさらにどう闘うか」
「見せてもらうか」
「そうしましょう」 
 順一は久志の言葉に頷いた、それは他の面々も同じだった。彼等は皆魔術師の次の動きを見守った。
 ベヒーモスは空に上がった魔術師に跳び上がって襲い掛かった、巨体からは想像も出来ない素早い動きだった。
 だが魔術師は空中でその動きもかわした、そして空中に留まったまま。
 今度は分身した、その身体が二つ三つ四つと増えていきやがて七つまで増えた、そうして。
 その七つの身体でだ、術をさらに使った。防壁等の己の身体を守る術を使っていく。久志はそれを見てあることに気付いた。
「魔術師の術だけじゃないな」
「僧侶の術も使っているし」
 今度は源三が言った。

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