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永遠の謎
261部分:第十八話 遠く過ぎ去った過去その十一
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第十八話 遠く過ぎ去った過去その十一

「ではどの店に入ろうか」
「店も多いですね」
「フランス人は食を愛する」
 そのこともよく知っている王だった。
「だからだ」
「それはルネサンスの影響でしたね」
「知っていたか」
「少しですが」
 ホルニヒは少し謙遜してから述べた。
「カトリーヌ=ド=メディチが入ってからですね」
「そうだ。アンリ二世の后だった彼女がこの国に入ってからだ」
「それまではかなり粗末な食事だったとか」
「ドイツも同じだったがだ。確かによくはなかった」
「それが大きく変わったのでしたね」
「外から入ったものもまたその国や人を大きく変えるのだ」
 そうだとだ。王は話していく。
「そしてそれがフランスの食を大きく変えたのだ」
「それもかなりですね」
「そうだ。特にルイ十四世の頃だ」
「あの頃にこそですか」
「そうだ。あの頃にその美食が確立された」
 太陽王のその頃にだというのだ。それは確かにその通りだった。
 この王は稀代の美食家だった。それと共に大食漢だった。その彼が食を楽しみだ。フランスの食文化を大いに発展させたのである。
「そして今のフランス料理に至る」
「では今から」
「そうだ。その美食を食べよう」
 王は少し期待する様にして述べた。
「今からな」
「では」
「そなたもだ」
 王はホルニヒに顔を向けて述べた。
「共に来るのだ」
「宜しいのでしょうか」
「だからこそ共にいるのだ」
 王はそのホルニヒにこう告げたのだった。今度はそうしたのだ。
「一人で食べるのもいいが今は二人で食べたい」
「勿体なきお言葉」
「バイエルンにいる時にはとてもできない」
 それが何故かということもだ。王は話すのだった。
「周りがいて。そして誰もが私を縛る」
「だからですね」
「何もかもが私を縛る」
 人だけではないというのだ。王を縛るものは。
「しかし今はそれがないからだ」
「二人で食を楽しむこともできますか」
「その通りだ。それではだ」
「はい、では有り難く」
「食べるとしよう」 
 こうしてだった。王はホルニヒと共にそのフランスの美食を楽しむのだった。そうして美食を楽しんでからだ。王はそのレストランを出てだ。
 パリのその放射状の、上は美麗だが下はそうではない街を歩きながらだ。ホルニヒに話すのだった。
「先程言ったが」
「フランス料理のことでしょうか」
「そうだ、イタリアから入ったと言ったな」
「はい、確かに」
「それはドイツも同じなのだ」
「ドイツも」
「私が入れるのだ」
 そうだとだ。王は話すのである。
「フランスから。その美を」
「フランスの豊かな芸術を」
「それを入れる」
 また話す王だった。
「城としてだ」
「そしてワ
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