暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第6話 非日常の訪れ
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は黒のローブをはためかせながら横にすっ飛んでいく。今まで黒ローブで遮られていたその向こう側には、絞められていた首が開放されたせいでむせているフローラと、彼女を介抱するセレシアという緊迫した状況下でも微笑ましく思える姿があった。

「フローラ、大丈夫!?」

「う、うん。ありがとう」

 しかしながら、フローラは一時的に助かっただけで、また同じようなことになる可能性がゼロにはなったわけではない。

 エースがその場でセレシアとフローラの方向を向いているという隙しかない体勢でいるのにも関わらず、相手はうめき声の一つも漏らすことなく立ち上がった後、エースには目もくれずにフローラの方へと向かっていた。

「あくまでも狙いはそっち、ってことかい」

 その様子は当然エースの視界に自動的に入る。相手がそこそこ早い上に元々広くない空間なので、エースが接近するよりも早く相手がフローラの元に到達してしまう。

 だが、二度同じ目には合わないだろう。今のフローラの元には、頼れる少女がいる。

「こっちに来ても無駄よ。『ブラム・バースト』!」

 セレシアの適性である火属性に分類される魔法の中で、そこそこの威力を誇る爆発系統の魔法。

 殺傷しないようにと気遣いが出てしまったのか、使用されたのはその中で最低の威力である『ブラム・バースト』だった。ローブを纏った相手は真正面からの魔法をくらい、まるで反発しあった磁石のように吹き飛ぶ。

 しかし、威力の低いものを使ったせいなのか相手にはそこまでダメージが入っていないようで、ローブ姿の人間は受け身をとることに成功していた。

 そして数秒間、エースとローブ姿の相手の間でにらみ合いが続く。どちらが先に動くか、相手の出方を伺いながら時間は少しずつ過ぎていき……


 少し経ってから先に動いたローブ姿の男が、懐から取り出した何かを投げつけた。

 地面に叩きつけられた球状の物体は、割れてその中身をまき散らす。急に発生した眩い光と大きな音はその場にいる全員の視界と聴覚を遮り、同時に行動の制限を強制的に課した。

「あ、おい待て!!」

 その中で逃げる足音がすることに微かに気づいたエースがワンテンポ遅れて動こうとするが、眩しさでまともに目が明かないために身動きが取れない。どちらが逃げた方かも分からず、ただその場にいることしか出来ない。


 そして時間だけが過ぎ去り、光が収まった後には、嵐の後の凪のように静かな日常が屋上へと舞い戻ってきた。

 事が終わったと感じたエースは、ひとまず無事を確認すべくフローラの元へ駆け寄った。

「スプリンコートさん大丈夫?」

「う、うん……」

 その顔にはまだ少し恐怖が残っているようにも感じられるが、とりあえず落ち着き
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