「こわいは、嫌です」
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し歩くとともに出口の明かりが見てとれた。とにかくここから出たいと、すぐさま出口に殺到する。
「あー辛かった……」
「ここは……」
洞穴から抜けた先にあったものは、今までの枯れ木ばかりの光景とはまるで違う、緑豊かなドームの内部。岩で出来た外壁がこの場所を隠していたようだが、それ以上に目についたものは、ドーム中央に設えられた厳かな聖堂だった。ただし聖堂は明らかな老朽化を見せており、かなり古いものだとうかがわせる。
「アレは我々の伝説に残る、《大地割断》時に失われていた聖堂のはず……」
その正体に心当たりがあるらしいキズメルが、信じられないように呟きながら。そんな聖堂へと足を踏み出すとともに――ショウキたちへ殺気が向けられる。
「キズメ――」
「動くな!」
キズメルへの警告は間に合わず、木々の間から弓矢が向けられる。姿を隠し何人いるかを悟らせない射手の姿は、キズメルたちエルフと似たような背格好だが、顔をすっぽりと隠す覆面をつけていた。
「フォールン・エルフ!?」
「私たちからすれば、人族と共同する君たちの方が堕ちているように見えるがな」
フォールン・エルフ――ショウキもアスナやキリトたちから聞いたことのあった、エルフたちから離反し《聖大樹》の恵みを受けることなく暮らす者たち。それだけではなく何らかの企みがあり、キズメルたちとは敵対することも珍しくないと。
「貴様……将軍ノルツァーの副官、《剥伐のカイサラ》か! それに――」
「……エンジュ騎士団の者か。そこそこの階級の者と見た」
そうして姿を隠している他のフォールン・エルフたちとは違い、一同の前に、暗灰色の革鎧を着た女性エルフが姿を表していた。流れるような銀髪に眼帯、さらに腰に帯びたカタナから冷徹な印象を与えてくる、キズメルいわく《剥伐のカイサラ》。フォールンの副官という役職に違わず、一筋縄ではいかないと感じさせる。
「さて。見ての通り、君たちは矢で狙われている。生きて帰りたくば、我々の要求を聞いていただきたい」
「貴様……!」
「キズメル、ちょっと落ち着きなさい」
「要求って何なの?」
……副官であるらしい彼女のことは気になるが、そればかり気にしてはいられない。現在進行形で弓矢を向けられていることに加え、呪いの大元を追ってきたこの場にいるということは、フォールンたちが呪いに関与していることは間違いないのだから。怒りに震えるキズメルを抑えつつ、受け入れる気もないだろうがアスナが交渉の席に立つ。
「人族には関係のない話だ……それとも、何の時間稼ぎだ?」
「ショウキくん!」
――見抜かれているならば隠す必要もない。こちらに向けられている矢が放たれる前に、ショウキはノーム用に造
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