「こわいは、嫌です」
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つつ、プレミアにヒールの魔法を唱えるものの、彼女の震えが止まることはなく。
「どうしてでしょう……HPは問題ないのに、震えが……止まりません……」
「……それは怖いんですよ、プレミア」
「こわい? これが……こわい……」
プレミアも自らの震えが止まらない理由が分からなかったものの、彼女の手を重ねながらユイはその理由を語ってみせた。恐怖――死んでしまうかもしれない、その恐怖は未だにプレミアの身体を支配しており、プレミアはようやくそこで学んだことがあった。
「こわいは、嫌です」
感情は楽しいものだけではないのだと。
「リズ!」
キズメルに連れられ訪れた沼地……いや、かつては広大な森林だったのだろうと、辺りに乱立する枯れ木が示してはいたが、今や生命が感じられない枯れ果てた大地にて。襲いかかるオークに鞭をしならせ巻きつけると、力任せに空中へ放り投げていた。
「せいやっ!」
空中で身動きのとれなくなったオークに対し、リズの容赦ない一撃が加えられる。メイスは一切の容赦なくオークを防具ごと砕いてみせ、リズの着地とともにオークはポリゴン片となって空中で四散する。
「ナイス、ショウキ!」
「そっちこそ」
「流石のチームワークだな。見習いたいものだ」
そしてそのオークが最後の一体だったらしく、軽く索敵をすませた後にリズとのハイタッチ。そんなショウキたちを、他のオークを倒してきたらしいキズメルとアスナが微笑ましい様子で見ており、二人はどこか気恥ずかしくなってお互いに距離をとる。
「どうした?」
「べ、別に。それより見習いたいって、キズメルにもそういう相手っていたりするの?」
「相手? 私にか? はは、あいにくこの身は女王に捧げた身でな……それよりショウキ。改めて、着心地はどうだ?」
リズの照れ隠しも込めた下卑た質問をキズメルは一笑に付しながら、ショウキへと視線を移す。その視線にはキズメルたちエルフの《エンジュ騎士団》の制服を着たショウキが映っており、初期装備では問題だと判断したキズメルが、いつぞやの呪いとの戦いの報酬として着させたものだ。
「ああ、悪くないよ。ありがとう」
「コラ」
紫色を基調とした軽装鎧。設えられたマントが多少ながら邪魔だったが、動きやすさを重視したデザインにショウキは基本的に満足していた。彼個人としては心からの礼を言ったつもりであったが、何故だかリズから軽くお叱りの肘鉄をくらう。
「なんで満足なのに悪くないとか言っちゃうわけ? そういうとこよ、そういうとこ」
「むぅ……」
「はいはい、ごちそうさま。それくらいにしといてね」
まだまだ出来ていないらしい脱・根暗にショウキが頭を抱えるが、そんなこと
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