「こわいは、嫌です」
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そうして引き際を誤ることはなく。かなりのダメージを与えたものの無理することはなく、反撃を見越したアルゴはローブを離すと、そのまま落下してリーファにキャッチされる。さらにアルゴを追撃しようとする魔術師に、シノンが隙潰しの矢を放ってみせ動きを潰す。
――ただし、今回ばかりは最後まで倒してしまうべきだったかもしれない。
「……皆さん! 攻撃が来ます!」
まさに発狂攻撃、と呼ぶに相応しいものだった。今までは触れれば分散する火球を最大でも二つ、という攻撃が主だった魔術師だったが――今回の火球は、最初から分裂したものだった。つまりそれは散弾銃のようなもの――いや、その細かい火球がさらに分裂してマップを埋め尽くすならば、それはまさにクラスター爆弾といっても過言ではなく。
「バリアを――」
「それより通路に逃げロ!」
とはいえ予備動作が長くユイとアルゴの警告が間に合ったために、一同は無事に通路まで逃れてみせる――プレミアを除いては。
「あ……」
ここにいるメンバーは、プレミアのことを知らなかった。ショウキとリズから自分の身は自分で守れるとは聞いていたが、二人のアバターが初期化されていたことや店のこともあり、《ALO》らしいボスとの戦闘を経験していなかったことを。それ故に反応が遅れてしまい、通路へと伸ばした手が届くことはなく、魔術師の大破壊がフィールドを包み込んだ。
「プレミア!」
「プレミアちゃん!」
――しかして、その業火が全てを焼きつくすより早く。ユイが妖精から人形に戻ってプレミアを通路に押し込み、再び妖精に戻って自身も難を逃れつつ、さらにリーファが直前まで唱えていた風の防壁をごく小さくではあるが発生させた。爆発は通路にまで伸びてくるが、風の防壁によってプレミアの防具を軽く焦がすだけで済んだ。
「ユイちゃん……」
「今のは内緒でお願いしますね、半分ズルですから……それよりプレミア、大丈夫ですか!?」
「は……はい……大丈夫……です……」
ナビゲーション・ピクシーがプレイヤーを押し込んで攻撃を回避させるなど、明らかに想定されていない行動である。相手が小柄なNPCであるプレミアだからこそ出来たこととはいえ、リーファからの無茶を咎める視線にユイは目をそらしつつ。そんなことよりプレミアのことだと彼女の方を見れば、HPゲージに問題はないものの、震えたまま動こうとはせず。
「プレミア……?」
「リーファ。私たちでボスは倒してくる」
「……悪いが、プレミアのことは任せタ」
「あ、はい!」
一同が逃走した通路に魔術師が迫る気配を察知し、アルゴとシノンが二人で通路から飛び出した。囮になる、ではなく倒してくるというのがシノンらしいとリーファは苦笑し
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