「こわいは、嫌です」
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いるところか。本が光るとともに魔術師の身体は浮遊し、一同と距離を離しつつ魔法の詠唱を始めていく。
「話し合いは出来ないみたいね」
敵としての反応を見せられるや否や、シノンがつがえていた矢が風を切って魔術師に飛んでいく。ただしその矢は、同時に魔術師が発射した火球に飲み込まれ、燃え尽きてそのまま消滅してしまう。
「皆さん、別れてください!」
ユイの指示通りに散開した一同がいた場所に火球が炸裂すると、辺り一面に小さい火花を撒き散らした。かつて女神から盗んだという《浮遊の魔術書》で距離を放しつつ、爆散する火球を空から放ち続ける、分かりやすい魔術師タイプの敵だ。ただし問題として、この場で飛翔することが出来る者は敵の魔術師だけということだが。
「……悪いが、オレっちとプレミアには遠距離攻撃手段はなイ!」
「なら! フェンリルストーム!」
とすると遠距離攻撃しかない訳だが、細剣に特化したプレミアとクローを装備してはいるが戦闘が本職でないアルゴには、あいにくと空を浮遊する魔術師に対する攻撃手段はない。まずはリーファが剣に込められたエクストラアタックを解放し、触れる者を全て破壊する竜巻を魔術師に向け発生させる。
「危ない!」
「わわわ!」
ただしそれは、またもや魔術師が放った火球と相討つこととなり、竜巻を纏った火球のつぶてが広場全体に撒き散らされることとなってしまった。一同は慌てて逃げるものの避けられるものではなく、程度の差はあるが服に焦げ目が残る。
「もう! 空さえ飛べればあんな奴!」
「リーファ、同時攻撃!」
魔術師の放つ火球の雨を避け続けながらも、シノンはひとまずの解決策を提示する。分散する火球による自動防御に対し、同時攻撃を仕掛けることによる突破という分かりやすい手段。リーファが魔法を発射するタイミングに合わせ、シノンはソードスキルを伴った三本の矢を同時発射する。
「そんなのインチキ!」
しかして魔術師の対抗策もまた単純なものだった。両手から火球を二つ発生させ、リーファのカマイタチとシノンの矢、それらを同時に返り討ちにしてみせたのだ。それらはやはり先と同様に、火球のつぶてとともに地上にいる一同に跳ね返った。
「もらっタ!」
……そう、地上にいるメンバーのみにだ。リーファとシノンの同時攻撃に魔術師が気をとられている隙に、壁を《ウォールラン》で駆け抜けたアルゴが浮遊する魔術師に接近し、闇を纏ったローブをクローで殴りつけた。幸いなことに闇とはいえ実体はあり、そのままローブを掴んで魔術師に肉薄したまま留まると、ソードスキルを伴った連続攻撃を叩き込んでいく。
「ナイスです、アルゴ」
「っとと……そろそろ限界ダ! 悪いが着地を任せタ!」
「はい!」
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