機動戦士ガンダム
2199話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「これは……まぁ、うん。随分と……」
目の前に広がっている光景に、俺の口から出たのはそんな声だった。
実際、バクゥとザウート、トラゴスといったMSが並んでいる光景は、何と言えばいいのか迷ってしまう。
いやまぁ、悪くはない。悪くはないんだが……それでも、色々と微妙な思いを抱いてしまうのは当然だった。
「アクセル、こちらの要望に応えてくれて感謝している。……特にバクゥだったか。この機体は地球で使えばかなりの戦力となるだろう。それこそ、陸専用のJ型よりも」
ラルが俺を見ながら、そんな風に言ってくる。
バクゥを始めとするMSを得られたことが余程嬉しかったのか、ラルにしては珍しい、満面の笑みだ。
「そう言って貰えると、こっちとしてもそっちの依頼を引き受けた甲斐があるよ。それで? このMSはすぐに地球に?」
「いや。このMSのパイロットに選ばれた者達には、まずクレイドルで操縦訓練をして十分機体に慣れて貰う必要がある。……ああ、安心してくれ。あくまでも慣れるというのは機体を動かす事であって、砲弾の発射とかはしない」
俺が何かを言うよりも雨に、ラルがそう告げてくる。
北海道以上の大きさを持つこのクレイドルだけに、MSの操縦訓練の場所としては文句なしだろう。
ましてや、重力制御装置によって1Gに保たれている以上、本当の意味で地球と同じ環境で訓練する事が出来る。
勿論地球全土と比べれば圧倒的に環境不足とでも言うべき場所ではあるが、少なくても最低限の訓練を行う事は可能なのだ。
だからこそ、ラルの言葉にも納得出来るものはあった。
「で? 結局このMSのパイロット達はザクとかのMS適正で落ちた奴から?」
「うむ。ザウートやトラゴスといったMSは、基本的には移動砲台としての役割だから、そこまで激しい動きをしたりはしない。バクゥの方は……色々な意味で通常のMSとは違う適正が要求される、ザクよりも厳しくなると思ったが……意外な事に、バクゥの適正を持つ者は多かった」
へぇ。それはちょっと驚いたな。
もっとも、ラルの言いたい事も分からないではない。
バクゥは四足歩行という点で、とてもではないがザクのような通常のMSとは操縦感覚が違うのだろうから。
「ともあれ、これでMSの引き渡しは完了した。次からは、俺を通さなくてもシャドウミラーの政治班に頼めば融通してくれる事になる」
もっとも、あの切れ者揃いの政治班だ。MSを渡すにも、当然のように相応の利益を要求してくるだろうが。
とはいえ、それは決して悪い事ではない。
ルナ・ジオン軍が何の代価も出さず一方的にシャドウミラーから戦力やら何やらを恵んで貰うというのは、それこそ一国家として成立している意味がない。
多少なりとも自分達だけでどうにか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ