第6章:束の間の期間
第177話「異質なナニカ」
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よ」
「う……」
事実、その通りだった。
魅了を解く自体は上手くいったものの、それ以外は杜撰だった。
その結果が今の奏の状態なのだから、何も言い返せない。
「でも、今しかないって思ったから……」
「焦っては事を仕損じる。大方、この機会じゃないといけないとでも考えてたのね。詳しくは知らないけど、それでそうなってたら意味ないでしょう」
「っ……」
鈴の言葉に司は言い返せずに黙り込む。
結局空回りした部分が多かったために、言い返す事が出来なかった。
「私、は……」
「でも、一番ダメなのはその決意が保てていない事よ」
「え……?」
続けられたその言葉に、司は一瞬意味が分からずに聞き返す。
「頼ってばかりで変わろうと思う事は決して悪い事ではないわ。でも、中途半端に行動を起こしてその決意を鈍らせていたら、それこそ永久に変われないわよ」
「あ……」
鈴の言う通り、司の変わろうと思った決意は鈍っていた。
現に、魔力不足で立ち眩みを起こしそうなのをその決意で耐えていたが、決意が鈍った事で奏に使っていた耳栓代わりの魔法が消えていた。
「決意を抱き続けなさい。すぐに変わらなくても、その想いは崩さないで」
「っ……そう、だね……」
頭を殴られたかのような衝撃だった。
大事なのは行動を起こすことではなく、その想いを崩さないこと。
決意を鈍らせずに抱き続けることだと、司は理解したからだ。
「……っ……」
「……奏ちゃん?」
「……もう、大丈夫……!」
司に縋り付いてた手に力が籠る。
それに気づいて司は奏を見ると、奏は正気を取り戻したようで震えが止まっていた。
「いつまでも、怯えていられないわ……!」
「……さっきの会話、聞こえていたみたいね」
「え……あっ、魔法が……!?」
そこで司が魔法の術式が瓦解して解けていたことに気づく。
精神を落ち着ける魔法は持続していたが、防音の魔法は解けていたのだ。
そのため、先ほどの会話が聞かれており、それが奏を立ち直らせていた。
「逃れられないなら……向き合うしか、ない……!」
「奏ちゃん……」
「……そう、だな。どの道、向き合う事になるもんな」
神夜に関わっているであろう存在。
転生する際に干渉しているのであれば、いずれ関わってくるだろうと帝は考えていた。
だからこそ、向き合う気概を持たなければならないと理解した。
「(……大丈夫。きっと、大丈夫……!)」
虚勢を張るように、奏は自分に言い聞かせる。
根拠はない。だけど、それでも決意を鈍らせないように、自身を鼓舞した。
「……その様子だともう大丈夫そうね
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