第6章:束の間の期間
第177話「異質なナニカ」
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かか?』
「『この場合、邪神とかの方が当て嵌まりそうだね……』」
悪魔でも邪神でも、裏にいる存在としてはおかしくないと司と帝は思う。
得体の知れなさでは、そのどちらでも合っているからだ。
『……一旦、俺もそっちに戻る』
「『了解』」
奏が心配な事もあり、帝はそこで一旦念話を切り上げる。
念話を切り、司は怯えている奏に向き直る。
「……奏ちゃん……」
「つか、司、さん……い、今の、今のは……私、今……」
「(……まずい、思った以上に狼狽えてる……!)」
自分の体を抱きしめ、涙目になっている奏。
普段から優輝以外に表情の変化を見せない奏が、それほどまでになっている。
その事に、司は判断を見誤ったと理解する。
「わ、私の中に、何が……!?」
「落ち着いて……!」
「い、いや……!む、無理……落ち着けない……!」
優輝と守護者の戦いでも同じような事があったのが大きかった。
二度も、自分ではない誰かの影響を受ける。
それは、以前に魅了によって心を歪められていた事と似ているのもあり、奏の心に非常に大きな傷を残していた。
「……これは、何事かしら?」
「あ……鈴さん……」
「少し見ない間に、そっちの子がそこまで錯乱するなんて……藪をつついて蛇でも出したの?」
「同じようなものかな……」
呆れたような顔で、されど奏を心配して鈴が声を掛けてくる。
別室の皆を宥めてきた所で、奏の霊力が乱れていたのを感じ取って来たのだ。
「悪路王、貴方から見てどうなってる?」
『吾に聞かなくても分かるだろう。……魅了の術に掛かっていた者と同等に精神が乱れているな。何が起きたかまではわからんがな』
「……やっぱり、そんな感じなのね」
悪路王の言う通り、現在の奏はフェイト達が正気に戻った時のように酷く錯乱しており、精神状態も非常に不安定になっている。
だからこそ、すぐにどうにかするべきだが、その方法が見つからなかった。
「奏ちゃん!!」
「っ……!」
それでも、何とかしなければならない。
司はそう考えて、まずは落ち着かせようと頭を抱えるように抱き締める。
「……ゆっくり、ゆっくりでいいから、落ち着いて……」
「っ……ぅぅ……」
「(今は、何とかこれで……)」
落ち着いてほしいという“祈り”と共に、司は魔力で奏を覆う。
祈りの力により、その魔力で奏の精神は徐々に落ち着きを取り戻していく。
「……それで、何があったの?」
「……実は―――」
司は簡潔に先ほどあった事を鈴に話す。
転生について知っていたために、はぐらかす事もなく事情を伝える。
「……
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