第6章:束の間の期間
第177話「異質なナニカ」
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の……私たちがいるんだから」
「母さん……」
そう言われて、その通りだと思った。
僕は母さんと父さんが行方不明になって以来、誰かに頼る事をほぼやめていた。
緋雪と椿と葵。この三人にしか、頼る事はなかった。
戦力や能力などでは頼っても、精神的分野で頼る事はなかったのだ。
「(心が安らぐ……あぁ、そっか……久しぶりに、“休める”んだな……)」
目が覚めたばかりなのに、眠くなる。
僕を優しく抱擁する母さんに、安らぎを感じているのだろう。
「……ありがとう……」
「しばらくは俺たちに任せろ」
「貴方は、ゆっくりしていなさい」
その言葉を最後に、僕の意識は落ちる。
心を休めるために、眠りに就いたのだ。
=out side=
「………」
優輝のいる部屋の前で、帝は立ち尽くしていた。
本来なら部屋に入るつもりだったのだが、中の会話が聞こえてきたからだ。
「(……入る訳には、いかないよな……)」
優輝の状態。そんな優輝を見守る両親。
それらを考えると、ここで中に入るのはダメだと帝は思った。
「……あー、どうすっかなぁ……」
頭を掻きながら、帝はぼやく。
本来なら様子を見るついでに聞きたい事を聞くつもりだったのだ。
だが、出鼻を挫くように入るべきではない雰囲気だったため、それが出来なかった。
〈……リヒトからデータを受け取りましょうか?〉
「……その手があったか」
そこでエアが助け舟を出した。
優輝に直接聞く事が出来なくても、リヒトからなら聞く事が出来る。
エアなら同じデバイスであるため、通信からデータのやり取りもできるため、これで聞きたい事は聞けないものの、内容は知る事が出来る。
「(転生する時の神についても聞きたかったが……それは別の機会でいいだろう。一遍に知った所で俺にはどうしようもないしな)」
〈では、受け取ってきます〉
帝は扉の横の壁にもたれながらエアが情報を受け取るのを待つ。
そこまで時間を掛ける事なく、データのやり取りで点滅していたエアの光が消える。
〈受け取ってきました。一応、神についても聞きましたがリヒトは知らないと〉
「さすがに言ってなかったのか。……ってか、何気にあいつのデバイスは古代ベルカ産であって神様謹製じゃないもんな。必要がなければ知らせないか」
〈はい。それで、データを閲覧しますか?〉
「一応場所を変えよう」
そう言って、帝は場所を変える。
結局様子は見ていないが、両親がついているなら大丈夫だろうと判断したようだ。
「『司、奏。念話越
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