第6章:束の間の期間
第177話「異質なナニカ」
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同じように、まだ失ってしまった。
二人は式姫だから幽世に還った。……でも、そうだとしてもショックは大きい。
「(また、守れなかった。いや、それどころか、守られてばかりだった)」
椿と葵は、守護者に敗北して気絶した僕を守り続けていた。
だから、あそこまでの傷を負い……僕に力を託して、消えていった。
「(……可能性、か)」
夢に出てきた、僕に似た誰か。
その人物は“可能性”を司ると言っていた。
「(……二人が死なずに済む可能性もあったんだろうな)」
どんな小さな可能性も掴んで見せる。
そんな気概で、格上の存在との戦いにも勝ってきた。
……でも、そんな気概がもう保てない。
「優輝……まさか……」
「……本当に、感情を失っているんだな……」
「……さすがに、気づくよね」
そんな事を考えている僕の様子を見て、二人が信じられないとばかりにそう言った。
一応、感情がある演技はしていたけど……そこは親だからか、見破られたようだ。
「シャマルさんに聞かされてたのよ……」
「正直、信じられなかったんだが、その時に優輝が倒れて……」
「そっか……」
両親には伝えるべきだと、シャマルさんは判断していたのだろう。
感情を失ったなんて、相当な事態だからな。
「力の代償……ってのはわかる」
「でも、どうしてこんなにまでなって……!」
「………」
二人は、そうまでしなければ勝てなかった事はわかっているのだろう。
わかっている上で、僕がここまでやった事に思う所があるのだろう。
……でも、感情を失っている今では……。
「こういった代償を払わなければ、勝てなかったから」
……どうしても、冷たい応答しかできない。
「馬鹿……!それで心配する人もいるのよ……!」
「………」
叱責するような、心配するようなその言葉に、感情を失ったはずの心が揺れる。
緋雪の時と同じだ。ズキリと、心が痛む。
「優輝、お前はしばらく休め。今回、お前は頑張り過ぎた。だから……な?」
「……分かった……」
考えてみれば、今回の事件はよく動いていた。
霊術を扱えるというのもあったし、何よりも神降しが使えたために大門の守護者と死闘を繰り広げる事になっていた。
皆と共闘していた時と違い、神降しの時はフルパワーの守護者だ。
神降しがなければ防御も反応もできないまま殺されていただろう。
そんな相手との死闘。さらにその後の回復直後にまたもや死闘を繰り広げた。
それ以外にも妖の討伐などで東奔西走していた。
……確かに、傍から見れば頑張り過ぎなのだろう。
「頼る事を覚えなさい……。貴方は一人じゃない
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