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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
62話:摘発の始まり
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うと小袋を懐にしまった。

「閣下も相変わらずですな。ありがたく頂戴します」

お礼を言いながら目線がこちらに向いたので、私もお礼を言って懐に納める。

「まあ年代物のワインと料理数品って所だろうが、今回の件を昇進で報いるには少し時間がかかるだろうからね。その猶予代とでも思ってくれ」

用件は終わったようだ。揃って敬礼をし、答礼を待ってから執務室を退出する。今夜はうまい酒が飲めそうだ。ご無沙汰していた歓楽街の馴染みのバーへ二人で繰り出すことになるだろう。


宇宙歴785年 帝国歴476年 4月上旬
首都星オーディン グリンメルスハウゼン邸
ウルリッヒ・ケスラー

「ケスラー少佐、ご苦労じゃった。ブラウンシュヴァイク公爵家もリッテンハイム侯爵家も内密にだが今回の件を了承した。これで貴族階級にも健康診断を受けさせることができるじゃろう。そもそもは陛下のご温情を名目とした話じゃ。断ることは出来ぬ話だが、何かと反発するかと思ったが......。自分の一門や寄り子の醜聞が明らかになるよりも、先年の皇族殺害疑惑の潔白を優先したようじゃ。あの2家が承諾した話を断るなら、その時点で黒と判断すればよい。ここからはとにかく網を早く絞ることを優先しよう」

昨年末の軍の健康診断にかこつけた薬物検査だが、初日からかなりの薬物反応と、検査逃れが発生した。内々に拘束しながら、政府・宮廷の職員にも健康診断を継続して行ったが、軍ほどではないにしても、同様の事態が発覚した。社会秩序維持局の部長クラスや、近衛兵の一部からも薬物反応が出た時点で、陛下に内々に報告し、本来は対象に含んでいなかった爵位持ちの貴族も対象に含める事とした。
そのために、門閥貴族の領袖である2家に内諾を取りに行ったわけだが、グリンメルスハウゼン子爵はうまく話をまとめて下さったようだ。検査逃れや成り済ましを防ぐために、DNA鑑定も併せて実施し、将来的には臣民全員のDNAをデータベース化する案も出ている。書き換えが困難になるように、今回の話の出元である前線総司令部、軍務省、国務省で別々にサーバーを管理し、3ヶ所のデータと照合するような形で、運用する予定だ。
この案は、私とケーフェンヒラー軍医大佐の相談から生まれた案なので、採用されるに至り、二人で喜び合ったのは良き思い出だ。本来なら内務省でもサーバーを一つ管理するべきだろうが、早い段階で社旗秩序維持局の部長クラスから薬物反応が出た事と、貴族と結託して冤罪の可能性がある事件を強引な手段で処理していた背景があり、サーバーを書き換える可能性が高いと判断され、今回の件からは外された経緯がある。

「承知いたしました。既にリスト化された容疑者の収監も開始いたしましたが、想定より数が多い状況です。別途、収監施設を用意する必要がありそうですが、如何
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