第二章
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「ちょっとこの役誰にしたらいいかとかな」
「考えられないですか」
「だからだよ、頼むな」
「その役になってですか」
「頑張ってくれよ」
「わかりました、夢みたいですが」
「しかし夢じゃないんだ」
部長は祐貴に確かな顔で答えた。
「俺は御前にこそな」
「その役をやって欲しいですが」
「大変な役だが頼むぞ」
「わかりました」
祐貴は部長に熱い声で答えた、作品は歌劇をミュージカルに仕立てなおしたもので確かに長く祐貴が演じる役も出番が多い。台詞を覚えるのも大変だった。
だが稽古をしていてだ、彼は言った。
「俺何かどんどんな」
「歌いたい、演じたいのね」
「そう思ってるんだよ」
自分にミュージカルでメインを出来ると言った女子部員に話した。
「実際に」
「そうなのね」
「凄い作品で凄い役だよ」
祐貴は女子部員に明るい声で答えた。
「だからだよ」
「演じたいのね」
「上演はまだだけれど」
それでもというのだ。
「今の稽古の時も幸せで」
「じゃあ若し上演してね」
「皆の前で歌って演じられたら」
そして踊ってだ。
「俺本当に嘘みたいだって思うよ」
「信じられないのね」
「今もね、俺が演じていいのかな」
こうまで言う祐貴だった。
「本当に」
「部長さんもそう言ったんでしょ」
「うん、実際のことだってね」
その通りだとだ、祐貴は女子部員に答えた。
「言われたよ」
「そうよね、それじゃあね」
「現実のことだから」
「地に足付けて頑張って」
そしてというのだ。
「やっていってね」
「それで本番になれば」
「頑張ってね」
「それじゃあ」
二人で話してだ、そしてだった。
祐貴は舞台稽古でも全力を尽くし役にのめり込んでいった、その演技も歌も練習の時点で見事であり。
本番でも大好評だった、上演が終わってだった。
すぐにだ、彼は部長に言われた。
「最高だったぞ」
「本当にですか」
「ああ、他の奴もよかったけれどな」
どの部員達も見事に歌い演じ裏方として頑張ってくれたというのだ。
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