61話:進捗
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かこつけた薬物反応の検査から始める。おそらく軍部・政府・宮廷の職員から薬物中毒者が出るはずだ。それを口実に、オーディンとフェザーンを始め、各地の教団関係者を逮捕する形になるだろう。
と言うのも、泳がせていたお気に入りのメイドの兄が、最近始末されたが、検死の結果、サイオキシン麻薬が検出された。薬物中毒者にする事で、実行犯に仕立て上げられた可能性が高く、逆に言えば、教団の凶器候補者からは同様にサイオキシン麻薬の反応が出ると、予測したためだ。サイオキシン麻薬中毒者の共通項が地球教団となれば、かなり大々的で強硬な捜査をする名分ともなるだろう。
いささか悠長な気もしないでもないが、大事なことは教団の勢力を根絶やしにする事だ。今期からフェザーン自治領主となったワレンコフ氏から預かったマイクロチップの中身だけでは、地下茎がそのまま残ることになる。皇族ですら暗殺してのける連中だ。むしろ地下茎を潰すことに重点を置かなければ、後顧の憂いが残るだけになるだろう。
そんな事を考えているとノックがされ、従卒がベッカー少将とファーレンハイト少将の到着を告げた。お茶の用意を頼み、応接室へ向かう。俺に万が一のことがあった場合、この巨大な基地を差配できるのは今の所、この2人だけだ。裏の事情を伝えておく必要はあるだろう。
応接室に入ると、先に通されていた2人が起立して敬礼をしながら迎えてくれた。答礼をして席をすすめ、まずはお茶を飲む。落ち着いて話を聞けという意思表示でもある。長い付き合いだ。俺の意図をくみ取って2人もお茶を飲むが、やはり不安なのだろう、香りを楽しむことはせず、話を始めた。
「ザイトリッツ様、簡単に事情は把握しておりますが、警備を強化する必要はないのでしょうか?捜査の方も言葉が過ぎますがいささか悠長な気がします」
「ザイトリッツ、卿に何かあれば我らも会わす顔がない。対策はすべきだと言うベッカー少将の意見に俺も賛成だ!」
心配してくれるのは有り難いが、暗殺やテロから命を守るには、テロ組織を壊滅させるしかないのは2人も分かっているはずだろうに。
「今、何か変化を起こせば、相手に勘づかれる恐れがある。そんなことは分かっているはずだ。一撃で根絶やしにしなければ、いつかテロを起こしかねない連中だという事もね。これは押さえておいて欲しい裏の事情をまとめたものだ。含んでおいて欲しい。それと、この一件が結末を見るまでは、この3人が一堂に会するのは控えようと思う。この場の誰かがいれば前線総司令部の基地機能は維持できる。フェザーンでの大規模な捜査をするとなると、叛乱軍の目を、最前線に引き付ける必要がある。そう言う意味でも、この基地の機能を混乱させるわけにはいかない。思う所はあるだろうが、受け入れて欲しい」
まだ、納得はしかねるようだ。
「これは別の部署
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