第四章
第43話 約束
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…」
この様子を見るに、あまりいいものを食べさせてもらえない環境で育ったのだろうと思う。
食欲は人間の三大欲求のうちの一つだ。美味しいもので感動しない人間などいない。
飽食の時代で過ごしていた俺にだって、この味は大感激だ。
***
夕食後、タケルを城の中にある風呂に連れて行った。
子供たちはもう入った後だったらしく、牢に残って後片付けと、寝る支度をしてくれるらしい。ありがたい。
タケルは子供たちに繰り返しお礼を言っていたが、エイミーに「気にしなくていいわ!」とお尻を叩かれ、痛がっていた。
城内でタケルをフリーのまま歩かせるのは、さすがにまずいらしい。手枷を付け、看守も同行するということで許可が出た。
着替える際に手枷を外す必要があるという問題はあったが、看守が足枷も持ってきてくれていたので、手枷を外すときだけ足枷を付けるようにし、着替えを乗り切った。
ちなみにウエットスーツは脱がせるのが大変で、最初は見ていただけの看守も、途中から手伝ってくれた。
タケルは、看守にも丁寧にお礼を言っていた。
「俺、背中洗うよ。手枷付けたままだと洗えないだろうし」
「……すみません。ありがとうございます」
だだっ広い浴室。
俺とタケル、そしてクロだけで使うことになった。
看守さんは仕事が終わった後に入るらしく、今は入口のところで立っている。
クロは湯船に入らず、小さな桶でお湯に浸かってもらっている。
俺とタケルは体を洗い終わった後、お湯に浸かることにした。
レンの言っていたことがここでも通用するかは不明だが、彼のすぐ右隣にポジションを取った。
少し、肩や腕が触れ合う。
そしてお互い、目の前の白い湯気を見ながら、お湯の温かさを堪能した。
「悪かったな。いきなり騒がしくなって」
「いえ、大丈夫です。びっくりはしましたが……」
湯気の先には入口があり、うっすらと脱衣場の一部が見える。
そこに、黒い影が見えた。
シルエットの形と丈で、誰だかはわかる。
「あ、すまん。今向こうにカナの姿が見えた。あのウエットスーツ、たぶん取られるぞ」
「え?」
「タケルさーん、これもらうわね」
やっぱり。
カナは勝手に奪取を宣言すると、どこかに消えていった。
俺とタケルは顔を見合わせた。
「洗っていませんが……大丈夫なんですかね」
「そこか」
ズレた回答に面白くなってしまい、思わず笑ってしまった。
「あれ? 僕おかしいこと言いました?」
「ああ。自信持っていいくらいおかしい」
俺が笑ったままだったので、彼はつられたのか、少し笑顔を見せる。
初めて笑った気がした。
そのまま
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