第四章
第43話 約束
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その真偽を確かめる術はない。
だが、レンは図書館に入り浸りなので博学だ。いろいろなジャンルの本や資料を読んでいる。おそらくこれも、本から得た知識だろう。信じてよいと思う。
ではレンの言うとおりに、ということで。ちゃぶ台の斜め向かいに腰を下ろそうとした。
ところが、彼の話はそれだけで終わりではなかった。
彼は少し笑って「ちょっと待って」と、俺の腰のあたりをを両手で抱くように支え、続けた。
「ふふ。今言ったのは『普通は』だよ……。リク兄ちゃんの場合は、もっといい方法があるよ」
「え?」
「こう……」
レンは俺の腰を持ったまま、ちゃぶ台の奥中央に座っていたタケルのすぐ横まで、強引に移動させた。
そして、俺の膝裏に自分の膝を当て、膝カックンして強引に座らせてきた。
俺とタケル、二人並んで、あぐらで座るようなかたちになった。
狭いので膝が重なるが、俺のほうを上にするわけにはいかない。タケルの左膝を少し持ち上げ、その下に自分の右膝を潜り込ませた。
タケルは重なった膝をチラッと見たが、すぐに視線を前方斜め下に戻した。
「こんな感じかな。リク兄ちゃんの場合は、こうやってくっついて座るといいよ」
「レン。これはどういう意味が?」
「うん。これはどの本にも載ってないけど。リク兄ちゃんとくっついてると、初対面でも不思議と安心するんだよね。ねえ? 嫌じゃないでしょ?」
「そう……ですね。嫌ではない……です」
彼は視線を伏せたまま、そう答えた。
しばらくすると、重なった部分に体温を感じてきた。
牢の入り口から見ると、奥正面にタケル。そこから時計回りに俺、カイル、エイミー、カナ、レン、ジメイ、エドというような座り方だ。
タケルの右隣がエドというのは……まあそういうことなのだろう。
「はい、あーん」
「ええ?」
「あーん」
「あ、いや、自分で食べられますので……」
「遠慮しないの」
「……あの、普通こういうこと、するんでしょうか……」
「ふふふ、リクさんに初めてやったときと同じ反応だ」
それは普通に恥ずかしいだろ、と心の中で突っ込みながら、俺も食べ始めた。
うん。おいしい。
地中海っぽい料理だが、どれもいい味のものばかりだ。さすが。
伊達にポッチャリではないな、エド。
これならタケルも喜んで食べているのでは? と思い、声をかけようと隣を見た。
すると、なぜか彼の目からボロボロと涙が流れていた。
どうしたのかと聞こうと思ったら、エドも気づいていたらしく、先に質問をした。
「あれ? タケルさん何で泣いてるの? 美味しくなかった?」
「……いや……違うんです。その逆で……」
「逆?」
「こんなにおいしいのは初めて食べたので…
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