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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第5話 悪意の欠片
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 エースやミストの本業は何であるか。

 本業ではなく仕事としたなら答えはいくつかあるが、本業とすれば問いの答えはただ一つ、『学生』だ。ならば学生の仕事である勉学に励むことは何もおかしくない。

 迷宮内での魔物掃討の依頼を終えた次の日。まだまだ平日ど真ん中の火曜日である今日も、エースとミストはいつもと変わりない学校への道のりを?気に歩いていた。

 本当は森の中の小道を突っ切って校門を経由せずに敷地内に入った方が断然早いのだが、そうするとエースたちの住処が敷地内もしくはその近くにあるという予想が簡単に出来てしまうため、こうしてやや遠回りに今歩いている道へと出るのだ。

 時間に関しても、始業時間ギリギリに着くように出るという風にしている。これは、あえて近くからなのか遠くからなのかを惑わせるための策である。

 そのように様々な策を練っている2人は、今日も揃って始業時間ギリギリに教室に来る。だが、滑り込みセーフを狙わなければならないというほど急ぐ必要があるわけでもない、絶妙にギリギリな時間だ。この絶妙な時間に来るために、2人は入学当初から思考錯誤を続けて、2年ほど前にこの時間に狙って着けるようになった。

 教室に2人が入って来た時の反応は挨拶をする者、忌まわしそうに見る者、自分たちの会話に夢中な者、と様々だ。挨拶をしてくれた人にはきちんと返し、その他は基本触れないというスタンスを保って2人は今日も席に座る。双子ではあるが姓が違う2人の席は現在隣同士なので、少なくとも左右のどちらかから消しゴムが飛んでくることはない。

「エース、今日の予定は?」

「俺は1なしで2限から連続4つ。そっちは?」

「僕も似たようなものかな。ただ僕は5コマ目も空きだよ」

「あーそれいいなぁ」

 2人の会話からもある程度分かるように、この魔導士育成学校では、育成学校ではどの授業を取るか、というのは基本的に生徒に一任されている。最低限取らなければならない授業数と科目だけを確定させておき、残りは自由に選ぶことが出来るようになっているのは、たった4校しかない育成学校が幅広い人材を育成するための工夫なのだ。

 そしてすべての座学、実習が共に専用の教室で行われるため、ホームルーム教室は基本的に出席確認と依頼掲示のためにあるものでしかなく、基本的に始業してすぐに始まる5分ほどの伝達が終わった後はもぬけの殻に近くなる。

 よって、今日も5分間の伝達の後は、基本的には皆フリーになる。そのフリーになった時間を使って、生徒は勉学に励んだり、依頼に出たりするのだ。エースやミストは、今日は依頼ではなく座学や実習を行う日としているので、学校外に出ることは放課後になるまではない。

「あ、そうだ。先に今日食べたいもの聞いとく。何がいい?」

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