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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第15話:新体制の幕開けー3
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以上議論しても仕方ない」

ゲオルグがそう言うと、机を取り囲む面々は顔を上げた。

そしてシンクレアが微笑を浮かべて口を開いた。

「じゃあ、サーチャーのテストから始めますか」





30分後。
彼らはサーチャーからの映像を表示するモニターを前にしていた。
一様に表情は暗く、ゲオルグは苦虫をかみつぶしたように、口元をゆがめていた。

サーチャーによるビル内部の偵察テストは失敗であった。
ビル内部に進入した直後からサーチャーからの信号は途絶え、さらに偵察ルートを回り終えて
帰還する予定時刻になっても、使用した10個のサーチャーのうち1個も戻ってこなかった。

「ダメ、でしたね・・・」

ティアナが恐る恐るそう言うと、たまたまゲオルグと目が合った。
ゲオルグはティアナに向かって苦笑を浮かべて首を横に振ると、大きく息を吐いた。

「さて、次はどうするかな?」

ゲオルグがそこに集う人々に向かって言うと、全員が難しい顔で唸った。

「シャッターか壁の薄いところに穴でもあけてカメラでも入れるか?」

クリスティアンがそう言うと、ゲオルグは悪くないと頷く。

「いいですか?」

シンクレアが声を上げると、全員の目が彼に向いた。

「ちょっと思ったんですけど、2階より上のオフィスエリアには犯人が入ってないんですかね?」

シンクレアの言葉に、ゲオルグを除く全員が驚きの表情を浮かべた。

「いや、銀行強盗ですよね? だったら現金のある店舗エリアを狙うんじゃ・・・」

控えめな口調でウェゲナーが言うと、クリスティアン以下の301部隊の面々が頷いた。
一方ゲオルグは、腕組みをしたままじっと机の上のビル図面を見つめ、
ティアナは眉間に皺を寄せてどことも知れぬ宙に視線をさまよわせた。
しばらくして、ゲオルグは顔をあげて声を発した。

「ランスター執務官、何か意見は?」

突然ゲオルグから意見を求められたティアナは、驚きの表情で隣に立つゲオルグの顔を見上げた。
その視線を飄々と受け流すゲオルグを見て、ティアナは小さく息を漏らした。

「クロス3佐の言われるように、オフィスエリアに犯人が侵入している可能性は高いと思います。
 理由は、上層階のシャッターが閉まっていることです。
 店舗エリアの緊急ボタンを作動させたとしても、こうはなりません。
 つまり、何らかの意図をもった行為の結果ということになります」

「と、するとだ。 店舗エリアだけの偵察では不足ということになるな」

ティアナの言葉を受けてゲオルグがそう言うと、シンクレアが渋い表情をした。

「俺がビルに潜入して敵の配置や人質の状態を確認してくる。
 その結果を受けて突入作戦の計画を練るとしようか」

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