暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 9
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居た頃の私も傍から見れば同じようなモンだったかも知れんが……レゾネクトが居なかったらアイツ、人間の子供のままで自滅してたんじゃないか?
 いや、マジで。
 「ですがそれなら、アリア様を生かしてくれていたレゾにゃんにも少しは感謝しなければなりませんね。はい、良い子良い子」
 「止めろ。私の親を子供扱いすんな。「幼児の親を持つ子供」って立場に置かれた本人の心境は至って複雑だぞ」
 お前も、大人しく頭を撫でてもらってんじゃねぇよ。バカ親父。

 「それよかさ。クロスツェルが作った昼飯、まだ残ってたりしないか?」
 「あら? 足りませんでした?」
 「んにゃ、私は良いんだ。そうじゃなくて」
 年に一度しかない百合根感謝の日。
 クロスツェルの教会でも、この日は炊き出しで百合根の料理を分配してた。
 私も手伝いながら、感謝してるのに世界規模で一斉に百合根狩り? 変なの。って思ってたんだけど……
 「百合根って、祭日以降は手に入れるのが難しくなるんだろ?」
 「そうですわね。生産者や商人は祭日当日を狙って事前に取引していますし、無益な殺生を禁じているアリア信仰としても、当日までに仕入れた分は必ず使い切らねばという意識がありますもの。当然、祭日後に出回る数は皆無ではないにしろ極極微量になります。たとえ高位の貴族でも、よっぽど運が良くなければ追加購入は難しいでしょう。そもそも当日にしっかり堪能しているので、翌日にも同じ物を食べたいと言い出す貴族はなかなかおりませんが」
 「価格調整の為の生産調整、だっけ? 一気に流通させると物価が下がって、生産者や商人の労働力と報酬が釣り合わなくなるから、世界中の生産・販売者が協力し合って予め全体量に制限を設けてるとかなんとか」
 「……ロザリア様は、人間社会の仕組みについて博学多識であられますのね」
 「大半はアリアの知識とクロスツェルの説教が基で、私にとっちゃ腹も満たせん役立たずな情報だけどな」
 特にクロスツェルの説教を食らってた当時は、はっきり言って「んなコト、畑も人脈も持ってない浮浪児の私が知ってたからどうなるってんだ、バカバカしい! ウザい!」と思ってた。
 今も、私自身が人間社会に出られない以上活用しようがない、ただ頭の容量を部分的に埋めてるだけの知識に過ぎない無意味な代物だ。
 知ってるコト自体を褒められたって、嬉しくもなんともない。
 「で、だ。百合根が手に入らなくなったら、今日以降は百合根の煮物も作れなくなるじゃん?」
 「道理ですわね。食材が無ければ料理は出来ません」
 「ってことは、今日しかないだろ?」
 「百合根の料理が、ですか? それなら」
 「違う」
 分配が始まるのは夜からですし、調理場へ行けば大量にありますわ。とか言おうとしたっぽいプリシラの声を、レゾネクト
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