第一部
インテグラル・ファクター編
世界の終焉
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やはりあってはならない。ここでは、プレイヤーは味方だと断言できないのだから。
「それと、あんたの噂だ。『誰もHPがイエローになったところを見たことがない』ってやつ」
これは、いつだかコハルから聞いたものだった。
聞いた時は、《神聖剣》の能力なのだろうと軽く思っていたが、果たしてそんなことがあり得るか?
ただの1度も、グリーン以外のHPを誰も見たことがないなんてことが、本当に起こりうるのか。
仮定を立ててから出した答えは一つ。
「自分のHPがイエローにならないように、システムの保護をかけてるな?」
これは、一種の賭けだ。
たしかに、自分の中でそう答えを出した。だが、これがただ単に《神聖剣》が強すぎるというものだと、俺の勝機が薄くなる。
「ふむ。まさか見破られるとは……その通り、私のHPはグリーンからは減らないようになっている」
ヒースクリフは自分のシステムウィンドウを操作し始める。
どこかのボタンを押すと、ヒースクリフには《Immortal Object》と表記が現れる。 つまり、破壊不能オブジェクト。一切のダメージを負わない、不死属性。
「君達とのデュエルでは、システムのアシストを使ってしまってね。やはり、あれはやりすぎたか」
言葉とは裏腹にどこか嬉しそうにヒースクリフは語る。ひとまず、最悪の想定である《神聖剣》が強すぎるという線はなくなった。ここまでの話を聞く限り、《神聖剣》は不死属性を隠すために最適だっただけなのだ。まぁ、エクストラスキルであることに変わりはないため、弱いはずはないが。
「俺からも1つ、いいか」
「なんだね?」
「なぜ、この勝負を受け入れた?」
命のやり取りをする前に、少し疑問に思ってしまったことを尋ねた。
やろうと思えば、俺はこのままデータを消すなり強制状態異常なりで簡単に殺すことは可能なはずだ。
だが、ヒースクリフにその節が全く見えない。さらに言うなら、先ほど不死属性を見せた後、それを解除さえしている。
つまり、おそらく。ヒースクリフは、俺と対等な立場で命のやり取りを行おうとしている、ということになる。
「ああなんだ、そんなことか」
ヒースクリフが立ち上がる。システムウィンドウを操作し、その体にはボス攻略の時に見せる《神聖剣》を扱う装備へと姿を変えていた。
通知があった。見れば、それは『完全決着モード』の決闘申請。俺は迷いなくYESを押すと、カウントダウンが始まる。
俺がヒースクリフを────茅場晶彦を見ると薄く笑った。
「私の正体を見抜いたのだ。その報酬は、支払わなければなるまい?」
その一言を言い終えると同時にカウントダウンがゼロとなり、飛び込んで来た。咄嗟に『クラレット
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