機動戦士ガンダム
2197話
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
った筈だ。
視界いっぱいに広がっている桜の花に魅了されている美鶴の様子を眺めながら、俺はそんな風に確信する。
とはいえ、幾ら桜の花が満開になっているとはいえ、このままずっと桜を見ているだけというのもどうかと思うので、空間倉庫の中から弁当を取り出す。
超包子で四葉に作って貰った、特製中華弁当だ。
……基本的に四葉は麻帆良学園を卒業してシャドウミラーに就職した後も、様々な料理店に修行に行ったりしては、その店の料理を習得するといった事をしている。
今の四葉は、それこそ中華料理以外にも様々な料理を作る事が出来るようになっているのだが、それでも四葉にとって一番得意な料理は中華料理であるのは間違いないのだ。
そんな訳で、この中華弁当は四葉にとっては最も得意で、最も自信のある弁当という事になる。
それも、普通の弁当とは違って出来たてをすぐに空間倉庫に入れて保存しておいたので、揚げ物はサクサク、炒めたり蒸したりしたものは、まだ温かいという、弁当と呼んでいいのかどうか……といった弁当なのだが。
普通なら、弁当にいれる料理は、ある程度冷ましてから弁当箱に詰める。
もしくは、弁当箱に詰めてから蓋をしないで、ある程度冷えてから蓋をする。
そうする事により、食中毒とかそういうのを防止する訳だが……空間倉庫の中に入れておけば時間が止まっている以上、食中毒とかそういうのを心配する必要はない。
まぁ、例えば食材の中に毒が入ってたりすれば、そんな真似をしても意味はないだろうけど、四葉に限ってそんな真似をするとは思えないし。
「美鶴、ほら。いつまでも桜を見ていたいのは分かるけど、折角だから弁当を食いながら見ないか?」
「ん? ああ。うむ」
俺が渡した紅茶を少しずつ飲んでいた美鶴だったが、蓋を開けた瞬間に周囲に漂う、中華料理特有の暴力的なまでに食欲を刺激する香り。
その香りによって美鶴も空腹になったのか、俺の言葉に素直に頷いて渡した弁当を手に取る。
一応ということで、地面にビニールシートを敷く。
今までは立って桜を見ていたが、弁当を食うとなると、やはり立ったままという訳にはいかないし。
そうして俺と美鶴はビニールシートに座り、2人で弁当を食べながら桜を見る。
まさに、これぞ花見というのに相応しい行為だ。
とはいえ、弁当の中に入っている各種料理は桜に意識を集中したい俺や美鶴の意識をどうしてもそちらに引きつける。
焼きたてのカリッとした食感がある焼き餃子や、黒酢を使った酢豚、蒸し上がったばかりの点心。
それ以外にも様々な料理が舌を楽しませ、どうしてもそちらに意識が集中してしまうのだ。
「これは……美味い、な」
「だろう? 四葉っていう、シャドウミラーの中でも腕利きの料理人が作った特製の弁当だからな」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ