第四話 十数年前の遺産
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資の中には発注の予定の無かった物も複数、混ざり込んでいて確認すると上の奴らの話だと好きに使ってくれて構わないと言ってきた。適当な奴らはこういう時、たまには羽振りがいい。
「パパ、今回送られてきた物資にアレはありましたか?」
操作しているタブレット端末の画面端にLはひょこっと現れた。
「今確認してるけど無さそうだな、」
「えぇー」
「まぁ、海外からの運搬だからな。早くて今週、遅くて来月とかだろうな」
出来れば来ないで欲しい、と心から願っているがLは心の底からあの『残骸』を心待ちしているので何とも言えない。
「今回は珍しく発注書通り…って事は無いな」
「残念ですぅ」
「気長に待つしかないな」
来たとしても機体のデータを収集してその後は廃棄しても構わないと言われているので速攻、廃棄するぞ!っとLに言ったらLは怒るだろうな。
結局の所、蟹瀬はプラスマイナスの要領で今回の一件を受け止め、極力は前向きに行動していこうとは考えている。いい大人がぐじぐじしていじけても仕方ない、と自分なりに納得するのにかなりの時間を要したが…それもLの励まし(罵倒)のお陰で何とか立ち上がれたといった感じだ。
「パパ、アレはなんですか?」
アレとは?と運ばれて来るコンテナに目をやるがどのコンテナか分からない。
するとLはタブレット端末の画面の中でコンテナ番号を指差した。そのコンテナの中身は自衛隊で使われていたASのジャンクパーツだが…。
「全部、廃棄処分する予定だったものを引き取ったんですか?」
何処から仕入れた情報なのかLは本来、不良品としてゴミとして扱われる筈だったASのジャンクパーツコンテナの存在を見抜く。
「これは俺が陸上自衛隊少将に頼んで譲ってもらったんだよ」
「何故です?」
「何故って、勿体無いだろ?」
「勿体無いですか?」
Lは不思議そうに疑問を抱いている。
AIであるLにとってそういう人間の倫理観を理解するのは難しいのかも知れない。
「そうだよ。使えるものは再利用して使うのがエコってもんだ」
「なるほど…でも、これだけのジャンクパーツを大量に集めても余り意味は無いと私は思うのですが…?」
「まぁ、普通はそう思うよな」
本来、ジャンクパーツとはゴミであり直せて使えたらラッキー。と世間一般ではそう思われがちだが、アニメとか漫画でよくあるジャンクパーツの寄せ集めとかで造られたロボット好きの蟹瀬からすれば、このジャンクパーツは宝の山であり、それを運良くこちらに回せたのは神様からの贈り物だと錯覚してしまう。
「日本人は物を大切に、をモットーにしてるから覚えとけ」
適当な理由を思い付き、Lに説明を加えるとLは「ふむふむ。分かりました」と単語帳らしき物を開き、データを登録する。
「日本人は物を大切に…ふむ、調べて
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