第四話 十数年前の遺産
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う。話はそれからだ」
まずはケーキを一口っと…って美味い!
なんだこのまろやなな舌触りは、口の中で蕩けていくぅ…。
「これすげぇ美味いな…!」
風志も少し遅れてケーキを一口する。すると思わず「うんまぁ…」と言葉をこぼしていた。
その表情は普段の風志で…ってアホずら過ぎるだろ。
「その、なんかゴメンな」
少し気恥しそうに風志は言った。
「なんだ急に?」
「いやさ。こんな唐突で、それに何て言うか…俺の興味本位に付き合わせて」
「別に構わない。気にするな、」
風志は本気で、この白いASの搭乗者を探している。
生きているのか死んでいるのか。生きているなら何処に居るのか、そして何をしているのか…現在、手元にある情報だけでは解らない事ばかりだが、それでも風志は諦めていない。
諦められない理由が有るのだ。
そんな友達の真剣な思いを無下に出来ない。
「なぁ、もし迷惑じゃ無かったら…その話、俺も協力してもいいか?」
俺に出来ることなんて高が知れている。でも、一人より二人で情報を集めればそれだけ真相に近付きやすくなる。微弱ながら俺も手助けできるんだ。
「…いいのか?」
風志は申し訳なさそうな口調でこちらを見てくる。
「肯定だ。友達が困ってるんだ。少しでも力になりたい」
俺はありのままの本心を告げると────。
「蒼太ぁ…お前って奴らはよぉ…」
当然、風志は泣き始めた。
「お、おい」
「お前はホントに良い奴だなぁ。俺はホントに恵まれてるよ…」
「分かった!
お前の言いたい事は分かったから取り敢えず、これで涙と鼻水を拭け。話はそれからだ」
設置してあった箱ティッシュを風志に差し出す。
高校生にもなってこんなマジ泣きする人間を俺は生まれて初めて見たが、今は他のお客さんからの視線が痛々しい。今日は人の視線をよく惹きつけるなぁもう。
『アーム・スレイブ格納庫』
「オーライ、オーライ」
掛け声と同時に巨大なコンテナが運ばれて来る。
蟹瀬は運ばれて来るコンテナを見て溜息を付きながらも手元のタブレットで物資の確認を行なう。
今回、搬送されてきたのは新規で開発されたAS用の超大型コンデンサーに新型のマッスルパッケージ。それと何処かの倉庫で埃をかぶっていたASのジャンクパーツ。他にも大量の物資が搬入されてきているが、送り先も受け取り先もてんでばらばらで改めてここに発注するのにどれだけ手間が掛かったことやら…。
「する事なす事、全部適当だな…」
それもこれも上の奴らの仕事が雑だから、こんなしなくてもいい仕事を押し付けられる。
仕事を任せるから、その任せる為の下準備をするのが基本だろうが。
「まぁ、今回はその適当が幸をなしたか」
複数回、分けられ送られてきた物
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