第四話 十数年前の遺産
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けど別に恨んでる訳じゃない。従姉は大怪我を負ったけど今は元気で会社の社長やってんだぜ?すげぇだろ。
…。
…。
…でも、なんだろうな。詳しくは分かんねぇ。余り知りたくもねぇ。
でもよ。俺、聞いちまったんだ。
なんでも従姉は、この白いASの搭乗者の友達らしいんだ」
そうして風志は動画の続きを再生する。
白いASはボロボロで黒いASに惨敗していた。
だが、パイロットは生きていたのか搭乗口から一人の若者が出てきた。
その若者は学生服を着ていて──────何処か見覚えのある輪郭をしていた。
もう少し近ければ顔もくっきりと映っていただろうが、こうも離れていると画面も少しボヤけてしまっている。
そして若者は拳銃を構え、黒いASに向かって発砲した。何発も何発も発砲した。
AS相手に対人用の拳銃では何の意味も無いことは、この若者が一番理解しているだろう。だが、若者は弾切れになるまで撃ち続ける。諦めていないんだ。
ASは大破し、若者も満身創痍。今にも倒れそうだ。
だが、それでも若者は諦めていない。
何としてでも生き延びてやる、という信念を感じた。
…そして動画は終わった。
「動画は、ここまで…ここから先は携帯のバッテリー切れで撮影出来なかったらしい」
この先、この後はどうなったのか…何とも言えない所で動画は終わってしまった。
あの若者は恐らく、あの黒いASに殺されたか。それとも今も生きているのか…。何にせよ、少し分かった。風志の目的は、このテロに巻き込まれた従姉に大怪我を追わせた元凶とこの白いASに搭乗していた少年の招待を探る。
この動画と先程の会話で少しずつだがパズルのピースがハマっていく感じがした。
「M9…白いAS…レイブン…」
レイブンは日本純正の第三世代アーム・スレイブと先程、風志のスマホには映し出されていた。で、M9は日本産ではなく海外産だ。
現在でも非常に高価な第三世代『M9』を数十年前から保有し、そのカスタム機と思われる白いASを保有した海外の国…?
白いAS以外にもベージュの機体と黒い機体も日本の保有するASとは思えない。
これは他国のいざこざが日本でテロとして行われた?という見解でいいのだろうか?
だとしても…あの色々と疑問点は残るが、まずはここまでにしよう。これ以上深く考えるとパンクしそうだ。
「考えれば考える程に奇怪だ」
一つ分かった事は(と言っても曖昧だが)、この白いASの搭乗者は学生で日本人という事。
だが、機体は恐らく日本の物ではなく海外産。それは動画に映し出されたAS達にも言える事だ。特に、あの黒い機体は…なんというか、この世の物とは思えない程の性能だった。
本物の戦闘を経験した事の無い俺ですら感じ取れる禍々しい気配。コイツはヤバい
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