第四話 十数年前の遺産
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化け物だろ?」
そして次の瞬間、更なる予測不可能な展開が待ち受けていた。
「────────?」
黒いASが飛翔したのだ。
それも中に浮かんでいる。静止しているのだ。
「ASって…空を飛べるのか?」
「一瞬だけなら飛べるASも存在するぞ」
「それって空中を静止することも可能なのか?」
「いや、不可能だな。そいつは易々と飛んでその場を維持してるけど、日本で配備された『レイブン』は爆発的な加速での飛行だからな。飛べても一瞬だし高度を維持する事も出来ない」
「そうか────うん?」
今、とても気になるワードが俺の脳内をすり抜けた。
「レイブン?」
それって確か、今日ゲーセンで手に入れたASの名前だったような…?
「そっ。お前の手に入れたレイブンだよ」
そう言って風志はスマホの画面を操作し、レイブンの機体詳細画面と動画でやられていた白いASの画像を並べる。
「どうだ?」
「どうだ…って言われて、」
よく見ると機体の細部が似てなくもない。
白いASはM9と形状が酷似していたし…もしかしてレイブンはM9をベースに開発された試作機か…?でも、それだと変だ。だって、この動画は十数年前のものだ。なら、日本にM9は配備されていない。いや、そもそも今の日本にM9が配備されているのか?
「???」
いかん。困惑してきた。
M9は現在でも高性能機として活躍しており、その性能は折り紙付きだ。
だが、その機体価格とコストパフォーマンスはこの平和な国では見合わないと判断され、現在の日本でも配備されていないらしい。もしかしたら俺達一般人では知る由もない所で活躍しているかも知れないが、この動画は『十年以上前』の物だという事を忘れてはならない。
十年以上前と言えばM9は実戦配備どころか開発されたばかりだ。
となるとコイツは日本のASではない?
「この戦闘で出てきたASは何処の国の物なんだ?」
「さぁ。それは現在でも分かってない。
でも、コイツは間違いなくM9の系列機だと思うのよ」
スマホの画面をトントンとつつく風志。所々は新規パーツで原型を少し崩しているが…確かに、機体の細部はよく似ている。風志の言っていることもあながち間違ってない…かも知れない。
「だが、それで何になる?」
仮にこの白いASがM9の系列機だとしてもだ。それが分かってなんになる?
そこから先はなんだ?このASの正体を知りたい、という事なのか?
様々な憶測と推測を立てるが、俺は興味本位から来るものなのだと思った。
だが、どうやら違うらしい。
「この戦闘で、俺の従姉が怪我したんだ」
風志は苦笑し、普段と違う表情で話を続ける。
「いや。ホントに対した事じゃないんだ。この戦闘を引き起こした奴らをぶん殴りたいとか…思わなくは無い
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