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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第4話 我が家への帰還
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前の話だというのだから、この家にはそれ以来、約10年もの間住んでいることになる。10年前というと、まだソレーラがこの学校に学生として通っていたころから、ということになるのだから、その長さは容易に想像できるだろう。
さらに、これを理解していれば、この家の外観が非常に暗い色をしている理由も自ずと見えてくる。
これは2人の家を発見されにくくするための保護色のようなものなのだ。居場所を少しでも確認しにくくされ、安心して暮らせるようにするための仕組みなのだ。こうした知恵工夫を使っていなかければ2人にとっては生きづらい世の中が、今もある。
「ご飯、出来上がってるよ。冷めないうちにどうぞ」
「へーい」
「分かった」
そんな生きづらい世の中の過ぎゆく世界の中にある、安らぎの場所ともいえるこの家のダイニングに入ると、そこにはすでに食事の用意されたテーブルがあった。依頼から帰宅した日は、必ずこうしてソレーラの作る食事に舌鼓を打つ、というのが今では習慣となっている。日中の疲れも相当なものがあるのにも関わらずこうして作ってくれるのは、ソレーラ曰く『楽しいから』だそうだ。
エースとミストが横並びになり、その向かい側にソレーラ、という形でテーブルを囲み、手を合わせて食事を始める3人。食事の前に手を合わせるのもエースとミストの生まれ故郷である大陸東部地域の習慣であるが、ソレーラもこうして2人に合わせてくれている。
いつだったか、何故そうしてくれるのかをエースがソレーラに聞いたことがあるが、その時返ってきた答えは「その方が家族っぽいから」だそうだ。その回答が返ってきたとき、エースは思わず笑顔になったことを覚えている。後にソレーラが、すごく綺麗な笑顔をしていた、と言ったくらいのものだった。
感謝してもしきれないほどの思いは今もきちんと保ちながらも、こうして出来上がった第2の家族との日常は、すでに十分なほどの年月を経ていた。もしかしたら、今の家族の方が家族らしいのかもしれない、と思うほどに。
「今日はどうだったの?」
ソレーラから話題を切り出す時は、大抵このセリフからスタートする。これもまた、血の繋がりのない家族の間で繋がりを築き、確かめるためには大事なことである。
「エースがマジックペーパー持ってなくて迷宮の中で焦ってた」
「いやあれはお前がスプリンコートさんとコンビ状態だったのに分けてくんないから」
「それは結果論だと言ったよ、僕は。結局のところ、君が枚数を確認しないからそうなったんだろう」
迷宮の中でもやった小さな言い争いを再び繰り広げるエースとミスト。ご飯を食べ進めながら行われるそのやりとりの光景をソレーラは微笑ましく見ている。
「エース、出る前にペーパーの枚数確認したの
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