暁 〜小説投稿サイト〜
汝(なれ)の名は。(君の名は。)
15預言者(メシア)
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
えるのなら、皆死ぬのを覚悟するが良い」

 冬守から発した使者は、夕刻には国境(くにざかい)を超えて、遠く信濃の国まで到達しようとしていたので、すぐに現実になる。
 近所の村をウロウロしていた、働かないやくざ者と違い、一番信用の置ける、相手を説得できる魅力がある人物を送ったので、敗残兵の集まりである信濃の地に…
「冬守の地に有る巫女に出雲の神が降り立った」
 と一報が入れば、心が折れていた敗残兵が立ち直るかも知れない。
 様々な産物まで献上して神の証が立てば、中部、関東圏からも援軍が呼べる。

「何言ってんだ? ここまでイケイケで進軍させたのは姉貴だろうがっ、今更引き下がれるかよっ」
 兵士も士気が高く、出雲の残党さえ討ち果たせば、西日本と中部日本の全てが手に入る。
 異国の原住民の蛮族を蹴散らせれば、他の国に散ったヘブライ語を話しユダヤ教を信じる同胞を呼び寄せ、乳と蜜が流れる台地を金城湯池として社稷を立て直し、ユダヤ人の国家をこの場所で再建できる。
 一般兵士ですら誰一人としてここで足踏みしたいと思っておらず、休息が済めばすぐに進軍。ましてや後退、撤退など絶対にありえない。
「敵方にも我のような預言者(メシア)が出たのじゃ、出雲にいた、形式だけのバカ者達ではないぞ。神と交信(チャネリング)できる正真正銘の化け物じゃ」
 本物のシャーマン、予言者で預言者の恐ろしさは、アマテラスの味方である自分たちが一番知っていた。
 どんな工作でも、夜襲、毒の川、水攻め、何もかも無効である。
「大量の石礫を放つ竹筒も見た。体中に穴をあけられ、面を付けていても両目を潰される。山道を歩いていても足先だけを吹き飛ばし、殺さずに負傷者だけを増やして心を折り、その後立ち居振る舞いもできなくする悪意の塊のような武具じゃ、これより一歩も進むな」
 予知夢で見た光景に震え、自分の体を抱いて震えるアマテラス。
 雷管が開発できれば、地雷、爆雷、竹の薬莢、何でも作れて行軍路で破壊工作ができるが、邪馬台国側にそんな装備はない。
「奴はもう人の心など持っておらぬ。悪鬼羅刹で荒ぶる神、この国の今までの普通の戦のように、名乗りを上げてから勇士が競い合い、納得がいかなければ合戦に及ぶような、おままごとのような競技会ではなく、完全に殺し合いじゃ」
 天然痘ウィルスにコレラ菌、硫化水素のような化学兵器、ライフル弾もメタルジャケットなど一切されない鉛のホローポイントやダムダム弾、今後はジュネーブ条約など一切関係ないヴァーリトゥードの殺人技だけが行われる。

「アマテラス様がここまで仰るとは? 私共も考え直さねばなりますまい。軍議の場でお言葉を下さいませ」
 明日にも進発する予定だった派遣軍は、一旦停止させられ再軍議を行う。
 もし予言を無視してブリッツクリークして
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ