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緑の楽園
第四章
第41話 牢獄
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たと思うのですが」
「ああ、安心しろ。確保済みだ」

 ――ほっ。
 その国王の返事で、気分が一気に楽になった。

「よかった。すでにご存じだったんですね」
「あれはお前が縛ったんだよな?」
「はい、そうですが」
「やっぱりな。傍にクロがいたので、もしやと思って確認したが。縛っていた服のニオイがお前だった」
「うんうん。オレも確認したよ。兄ちゃんのニオイした」
「……ニオイを確認する必要はあったんでしょうか?」

 相変わらずだ。
 兵士や招待客の野次馬もいただろうに。よーやるわと思う。
 しかしヘンタイなのはおいといて、きちんとやるべきことはやってくれたようだ。ありがたい。

「とりあえず安心しました。誰かに勝手に解かれたりしたらと、心配でした」
「あー。パーティに参加してた人が最初に見つけて、解こうとしたらしいよ? そしたらクロに吠えられたんで諦めたんだってさ」

 そう言うと、カイルはクロの頭をポンポンと叩いた。

「お、そうだったのか。クロ、助かったよ」
「ああ……」

 さきほど注意したせいか、礼は不要だの何だのは言わないが、少し顔を逸らせて目も伏せている。
 微妙に照れているのだろう。

「ええと、彼は今どこに?」
「ここに入れているぞ」

 国王とカイルは椅子から立ち上がり、俺から見て右側のほうに移動した。
 クロも空気を読んだのか、一緒に移動する。

 開けた視界の先。通路を挟んで正面の牢。
 そこに、タケルがウエットスーツを着たままで横たわっていた。
 顔はこちらを向いている。寝ているのか、目は瞑ったままだ。手足はもう縛られていないが、猿ぐつわが嵌められている。

「この国としては、敵組織の人間を生け捕りにしたのは大きい。国王として礼を言う。リクにクロ、よくやってくれた」

 国王はクロの背中を撫で、ねぎらいの言葉を口にする。
 俺は「いえいえ」と頭を下げた。
 自分としては、特にそのような意気込みで戦ったわけではなかったものの、確かに国としては大きなことかもしれない。
 これで、敵組織の情報をいろいろ聞き出せる可能性が出てきたのだから。

 ――そうだ。もうひとつ確認しておかなければ。

「あの、情報を抜くだけ抜いて、その後死刑にしたりしませんよね? こいつ、まだ十六歳らしいので、それは勘弁してやってほしいというか……。今後の作戦へ協力をさせることを引き換えに、何とか減刑できないものなんでしょうか」

 俺が話し終える前から、国王がニヤニヤし始めた。
 そしてカイルと顔を見合わせて、またニヤニヤ。

「さっき話し合っておいてよかったな」
「へへへ、そうですね」
「……?」

 俺が頭上にクエスチョンマークを出していると、国王は説
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