『防壁少女』
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は違った。
「お客様ですね。お待ちしておりました」
(またロボットかな?)
そう思った。
だが今度は普通の女子で、しゃべり方も普通だった。
「ご案内します」
彼女の先導でオレは、そのまま目当ての部屋まで案内された。
後ろ姿からは、ほのかに良い香りがした。
(あいつの従妹か誰かかな)
目当ての『ご主人様』の部屋の前でドアをノックした。
「はあい」
いつもの声にホッとした。
「入るぞ」
ニコニコしている女子高生を脇目に、オレは部屋に入る。
いくつかのモニター画面を背に白衣を着た女性が振り返った。
「ビックリしたぁ?」
オレは肩をすくめた。
「余興としては楽しめたかもしれないが正直、趣味が悪いな」
すると彼女は頬に手をやって大げさに驚いて見せた。
「あらぁ、とても残念ん」
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それから女子高生に目配せをしてウインクをした。
「でも、ごめんねぇ。ちょっとテストを兼ねてサァ」
「は?」
なんのこっちゃ。
「でも、疑似的に感情を持った個性体を創造することは、ソコソコ出来るようになったわ」
「そうか?」
人の気配で振り返ると、入り口にさっきの猫耳緑毛の少女が立っていた。
白衣の『ご主人様』は微笑みながら言った。
「でもサァ、キャラの構築って結局、自分が知っている人のコピーなのよねぇ」
「ふん」
そのときだった。
モニターから『ぴー』っという警告のような音が響く。それまで淡々とスクロールしていた画面が止まる。
それと同時に、部屋に居る全員の動きが止まった。……いや、猫耳の少女を除いて。
「まぁ、こんな感じかな」
緑色の髪の毛に手をやった彼女はモニター画面の前へ行き端末のキーボードを操作した。
すると壁のモニター画面を文字列が滝のようにスクロールしていく。
少し待つとモニター画面は順次、『再起動』の状態で止まる。
「データ量も、結構カットできたわ」
やがて突っ立っていたロボットたちは再び瞬きを始める。
「さて、次は訪問してきた男性を中心に食事の場面ね」
部屋を見渡しながら猫耳の少女はカチャカチャとキーボードを操作する。
静止していた男女のロボットは、一斉に部屋を出ていく。
「あ……その前に皆で、お茶でも飲みましょうか?」
ロボットたちは足を停めた。
その時玄関から呼び鈴の音。見ると、門のところに人影が映し出されていた。
「あら? 久しぶりね」
彼女は暫し考え直ぐにクスリと笑った。
「……ちょっと『彼』にも応対させてみましょうか」
呟きながら端末を操作する彼女。
「ふふ、ちょっと休憩ね」
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お昼の日
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