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永遠の謎
247部分:第十七話 熱心に祈るあの男その十一

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第十七話 熱心に祈るあの男その十一

 そのうえでだ。彼はこう王に言うのであった。
「陛下、お待たせして申し訳ありません」
「いや、待ってはいない」
 王はそのホルニヒに顔を向けて彼に答えた。
「ここで実りを得たからな」
「実りをですか」
「そうだ、それを得た」
 こうホルニヒに話すのである。
「私はここでな」
「神の御加護をでしょうか」
 教会にいることからだ。ホルニヒはこう述べた。
「それをでしょうか」
「そうだな。近いな」
 実際にそうだと話す王だった。
「それはな」
「左様ですか。それはよいことですね」
「それでだが」
「はい、寄付のことですね」
「それはどうなった」
 ホルニヒに対してそのことを問うのであった。
「どうした、それは」
「サファイアとルビーを二個ずつ」
 宝石をだ。寄付したというのだ。
「そしてダイアも二個です」
「トリコロールだな」
「それで宜しいでしょうか」
「いい」
 それで問題ないという王だった。
「充分だ。そしてフランスに相応しい」
「だからだと思いまして」
「考えたな。私でもそうする」
 ホルニヒのそれを評しての言葉だった。
「だからだ」
「そうですか。では」
「そなたも祈るか」
 寄付の話の次はだ。それであった。
「神にだ。そうするか」
「はい」
 まさにだ。そうするとである。
 ホルニヒは微笑んで王の誘いに頷いた。
「そうさせて下さい」
「神は常に見ておられるのだ」
 王の目が微笑んでいた。そのうえでの言葉だった。
「そしてだ」
「そして?」
「騎士もだ」
 彼のことをだ。自然に話に出したのである。
「彼も見ているのだ」
「騎士?」
 だが、である。ホルニヒは彼のことを知らない。それでだった。
 王に対してだ。怪訝な顔で尋ねたのである。
「誰ですかそれは」
「むっ、そなたは知らないか」
 それを聞いてだ。王もわかった。
「そうなのか。彼は」
「私が入る前にいたのでしょうか」
 ホルニヒはこう考えた。そうでなければ不自然だからだ。
「その騎士の方は」
「そうなるな」
 実際にそうだったのでこう答えた王だった。
「彼はだ」
「左様ですか。その騎士殿は」
「その騎士に教えてもらった」
 王は微笑んでもいた。
「それでなのだが」
「それでとは?」
「まずはこの国の宮殿を回る」
「ベルサイユ等ですね」
「無論他の宮殿もだ」
 フランスといえばベルサイユだ。しかしそのほかの宮殿もだというのである。彼は様々な宮殿を回って見ていくというのである。

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