第一章 初体験
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なのだそうだ。
何しろ大前提として戦争がなければその才能は発揮される事はないわけだし、仮に才能があったとしてもある程度の階級が無ければ指揮する事も叶わないのだから。
更に付け加えて言えば本人にもその才能の有無はハッキリとは意識出来ないものらしい。
勿論自分には軍事的才能が満ち溢れているなどと豪語する御仁も多くいるらしいのだが。
我が同盟に関して言えば先だってのアムリッツァ会戦が良い例と言えるだろう。
あの作戦を提示したフォーク准将は士官学校首席であり自他ともにエリート軍人であったわけだ。
にも関わらず無謀な作戦案を提示し最後まで己の失敗を認めなかったそうだ。
軍事的才能というものが学校で磨かれるものでも発見されるようなものでもないという一例だろうか。
僕はヤン提督の庇護下で士官学校に通うこともなく軍人としての道を歩もうとしている。
自分に才能なんてものがあるのかどうかは解らないけれど(これはさすがのヤン提督にもわからないだろう)少なくとも常識を持った軍人にはなれるよう励もう。
無謀な出征で兵士の命を喪わせることのないようなマトモな軍人に。
七九七年 四月二十四日
う〜む、さすがに今日は書く事がない。
まあ、誰に見せるわけでもない私的な日記だから別に構わないと言えば構わないのだけど。
日記と言えば今書いているのは二冊目の日記帳なわけだけれども、何故か一冊目の日記帳も僕はヒューべリオンに持ってきてしまっている。
書きおわった日記帳など家に置いてくればよさそうなものだが何の気なしに荷物に入れてしまっていた。
まあ、たいして邪魔になるものではないし暇な時には読み返してみたりもしている。
こんなに早く振り返っても仕方ないだろうと思っていたのだが、これが意外と面白かった。
イゼルローンに引っ越してからはこんなに事件があったのかと我が事ながら驚いた。
ハイネセンにいた頃もそれなりに充実していたとは思っていたのだが・・・
何気無く捲ったページでは二ヶ月前に行われた帝国都の捕虜交換式の事が書かれていた。
ジークフリード・キルヒアイス上級大将と出会った日だ。
あの優しい瞳をしたとても軍人には見えなかったあの人も今頃戦っているのだろうか。
当たり前か、キルヒアイス上級大将はローエングラム候の腹心。
候の為に一身を投げ打って戦っているに違いない。
自分の信じるものの為に自分の持っている力を全て降り注ぐ、か。
羨ましい限りだ、僕にもいつかそんな機会は訪れるのだろうか。
ヤン提督の下で帝国軍相手に戦う、そんな未来が。
七九七年 四月二十五日
いよいよ明日はシャンプール星域に到達する。
いつもの艦橋会議によれば敵兵
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